2015 Fiscal Year Annual Research Report
イタリア農村部の観光振興による地域の持続性向上プロセスの研究
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15H06622
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
五艘 みどり 帝京大学, 経済学部, 講師 (00508608)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 観光学 / イタリア / アグリツーリズモ / 農村 / 地域振興 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内文献・資料について第1段階の調査を終了し、3月に第1回の現地調査をイタリアのトスカーナ州およびトレンティーノ・アルト・アディジェ州ボルザーノ自治県で16日間に亘り実施した。現地調査ではアグリツーリズモの運営状況や観光客向けメニュー、農業実施状況などの視察調査を行うとともに、アグリツーリズモ経営者、自治体の観光政策担当者、農業関連研究所研究者など計7名に向けてヒアリングを実施した。また現地調査ではフィレンツェ国立図書館、シエナおよびボルザーノの市立図書館を利用し、主にイタリア研究者による文献・資料の収集を行った。平成27年度の調査の一部を取りまとめる形で、年度末に論文発表(帝京経済学研究第49巻第2号)を行った。これは国内文献・資料調査の内容に、過去に実施したイタリアでの現地調査内容を合わせたものである。論文の内容は、イタリアの農業の変遷と地域特性を整理し、これらを背景としたイタリア農業観光の発展過程を時間軸に沿って明確にしたものである。現在、本論文は掲載が決定し校正の段階にある(2016年5月6日現在)。 平成27年度で得られた成果として3点挙げられる。第1点は、文献・資料調査によりイタリア農業の変遷および地域特性と、これを背景とした農業観光の発展過程が全国といったおおまかなレベルで明らかになったことである。また第2点は、現地調査を通しトスカーナ州およびボルザーノ自治県における地域的な農業観光の特色や背景にある政策がある程度明確になってきたことである。そして第3点にイタリアの農業観光は現在成熟期に達しており、政策的にこれが成功している地域とそうでない地域が比較的明瞭になってきたという点である。こうした成果を受けて、平成28年度は地域毎の農業観光の発展過程を深堀りし、地域住民・自治体などの参画の経緯や仕組みを明らかにしていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は、ほぼ順調に当初の計画通り進んでいる。細かな修正としてあったのは現地調査の実施時期を当初は1~2月を想定としていたが、この時期はイタリアの農業観光の閑散期となり、特に北部ではアグリツーリズモが休業している地域もあるため、3月の実施に変更をした。補足的事項として、現地調査におけるヒアリングは当初5件程度と考えていたが、アグリツーリズモ経営者の紹介で急きょ市役所や農業研究所へのヒアリングが可能となり、当初想定していたよりも多くの方に話を聞くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、3月に実施した現地調査の内容を踏まえ、学会発表(地域活性学会、9月)の準備を進めている。また第二段階の文献・資料調査として日本およびイタリア(必要に応じてこれらを除く欧米)の文献・資料収集を再度実施する。文献・資料調査は国外においては数が膨大になる可能性があることから、文献管理ソフトなどを使用しながら効率的に進める予定である。 また8月に実施する第2回の現地調査は南部カンパニア州と北部ピエモンテ州を予定しており、調査準備を進めている。カンパニア州は対象地にアマルフィを予定していたが、当初想定していたよりアグリツーリズモ数が少ない状況にあるため、範囲を広げてカンパニア州内で行うこととした。現地調査の内容は平成27年3月の調査同様、関係者へのヒアリングと図書館などでの資料収集等を想定している。8月の調査結果の後、その結果も踏まえて日本観光研究学会(12月頃)への学会発表を実施することを予定している。2017年の3月には第3回の現地調査としてウンブリア州を予定している。 現状の調査状況からして、研究計画に大きな変更はないと考えるが、夏場のバカンスシーズンの調査は出張旅費がかさむ傾向にあるため、実施日数は限界があり、これを閑散期の春の調査で補いたいと考えている。
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Research Products
(1 results)