2016 Fiscal Year Annual Research Report
Revisiting Audience Cost Theory from the Perspectives of Domestic Public Opinion and Election
Project/Area Number |
15H06684
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
安井 清峰 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 研究助手 (60756302)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 観衆費用 / 選挙 / 世論 / 国際紛争 / 紛争研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
[研究目的] 観衆費用研究では,非民主主義国に比して民主主義国において大きいという理論予想にもとづき,政治体制の差異により政府の対外行動のバリエーションを説明する先行研究が蓄積されてきた.しかし,前年度の本研究により,観衆費用モデルには理論的に未開発な部分が依然残されていることが明らかとなり,その問題点を修正した理論の精緻化を目的とし,引き続き国内世論と選挙を焦点に観衆費用モデルについて理論・実証研究を行った.
[研究成果] 第1に,国内世論と観衆費用については,経験的にしばしば観察される,有権者が武力行使の威嚇のような強硬姿勢を支持していない状況を組み込んだモデル分析を継続した.また,それに加え,平成28年度は,政治指導者に対する有権者の支持率が,相手国から見た武力行使の信憑性に与える影響の実証分析も行った.従来の観衆費用理論では,国家の対外政策について政府と有権者との間にコンセンサスが暗黙裡に仮定され,民主主義国が行う武力行使の威嚇の信憑性は一般に高いと予測されてきた.しかし本研究では,指導者に対する世論の支持率の変動に応じ,威嚇の信憑性もまた変動することを明らかにした.
第2に,選挙と観衆費用については,前年度の比較事例分析が,領土問題のような国際紛争からの撤退という対外政策決定上の差異を選挙近接性との関係から分析したのに対し,今年度は,逆に政治指導者による国際紛争の開始・勃発という現象を分析対象とした共同研究を行った.その結果,政治指導者は観衆費用の変動に応じ戦略的に対外政策選択を行っており,選挙近接性が特に民主主義国による国際紛争の開始に大きな影響を与えることが確認された.なお,本分析の中間成果については,平成28年度春季のMPSA(米国中西部政治学会)と夏季のAPSA(米国政治学会)において報告し,国際学術誌への投稿に向け,現在,論文修正を行っている.
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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