2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H06686
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鶴岡 昌徳 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (30756078)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 指名競争入札 / 一般競争入札 / 談合 / モラルハザード / 工事の品質 / スコアリングオークション / 価格競争入札 |
Outline of Annual Research Achievements |
公共調達はGDPの13-20%を占めている大きな市場である。本研究は、公共工事の調達において、指名競争入札から一般競争入札に変更したことの効果を、価格と品質の観点から実証的に分析するというものである。指名競争入札は、繰り返し特定の企業が入札参入の機会を得る傾向のある談合に弱い入札方式であり、一般競争入札は自由参入に近い入札方式である。指名競争入札は日本だけでなくヨーロッパの国々でも入札方式である。一般競争入札は近年の日本、アメリカ、ヨーロッパの諸国で使われている。 この実証分析を、入札時点の情報(入札価格、落札価格)に加えて、工事完成後の情報(最終的な支払価格、構造物の耐久性に関する情報を含む工事の品質指標、工事期間の遅延度の情報)を使って行う。更に、スコアリングオークションという比較的新しい入札方式だけでなく、従来の価格競争入札についても、分析を行った。日本では総合評価方式と称されるスコアリングオークションでは、入札時に企業は価格と工事技術・品質に関する資料の両方を提出し、両方の要素を考慮して落札者が決定される。価格競争入札では、企業は価格のみを提出して最も低い価格を提示した企業が落札者となる。 分析結果としては、スコアリングオークションの下での一般競争入札の導入により、工事の費用を10%以上抑えることができ、工事の遅延度も低下することが分かった。それにもかかわらず、構造物の耐久性に関する情報を含む工事の品質指標は悪化しないという結果を得た。また、価格競争方式の下での一般競争入札の効果よりもスコアリングオークションの下での一般競争入札の効果の方が大きいことも確認した。本研究成果をEuropean Association for Research in Industrial Economicsなどの国際学会、国内のワークショップ及びコンファレンスで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
博士論文の提出を終えることが出来た。応募していた国際学会には一つを除いて全て採択された。予定していた推計についても、推計結果を出すことが出来ていて、今後、論文に反映していくことができる状態になっている。 残りの作業としては、論文を読者にとって分かいやすいようにうまくまとめることと、今年度中に論文を英文校閲に出して学術雑誌に投稿するだけという段階になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様、学会及びコンファレンスに参加するだけでなく、近隣の大学の研究者や国内に滞在する海外の研究者に申請課題の研究の話をさせてもらって、フィードバックを得ていくことを進めていく。これにより、分かりやすさも含めて申請課題の論文の質を高めて洗練させていくことをする。最終段階として、質の高い英文校閲に論文を出すことにより、海外の研究者に対して分かりやすく申請課題の論文の内容が伝わるよう工夫、努力を行う。 更に、今後の研究課題を見つけていくためにも、指名競争入札のような繰り返し特定の企業だけが入札に参加する傾向のある入札方式が、公共工事の入札以外の重要な市場で使われていないかについても見ていく。
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Research Products
(4 results)