2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H06808
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
比嘉 理麻 沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (00755647)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 沖縄 / 人と動物の関係 / 移民 / 差別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまで申請者が沖縄本島で研究してきた養豚と差別という枠組みを、ハワイの沖縄系移民社会へと展開することで、移民先で養豚と結びついた差別がどのように生じ、人びとがそれにいかに対処しているかを、沖縄系移民の生業と他の住民との関係、およびオキナワ・リバイバル・ムーブメントの営みとの関連で理解し、新たな理論モデルを提示することにある。この目的を達成するために、初年度の2015年度はハワイ沖縄系移民の生業の変遷と差別の重層構造を明らかにした。具体的な研究実績の概要は以下の通りである。 (1)ハワイの都市計画・環境政策 まず、ハワイにおける養豚を取り巻く状況を文献などでおさえた。次に、ハワイにおける養豚の位置づけを明らかにするために、ハワイの生業の全体像とその歴史的変遷、および畜産業・養豚業の統計資料や関連政策を調べた。さらに行政文書や法令から、都市計画や環境政策の動向を把握し、養豚業規制区域や悪臭対策の変遷および地域的な偏差を明らかにした。 (2)沖縄系移民が差別されるに至った歴史的経緯 ハワイに移り住んだ沖縄出身者たちが、どのようにハワイ社会に受容され、養豚で生計をたてる道を選び、さらに差別されるに至ったかを文献資料を収集して分析した。とくに経済的状況の厳しかった沖縄系移民一世の移住と差別の経験に注目し、主流社会から日系移民に対する差別、日系移民から沖縄系移民への差別といった差別の重層構造を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題はハワイの沖縄系移民をめぐる差別の動態を、人と動物の関係論として展開することを目的としているが、初年度はその課題遂行のための具体的な文献資料分析を終え、理論研究へ着手し始めた。本年度も同様の配分で調査研究を続ければ、十分に課題遂行できる。その点で、本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、研究計画の通りに遂行することを予定している。前年度から引き続き、文献資料分析および理論研究を継続するとともに、新たに今年度は現在の沖縄系移民にみる養豚の展開と文化復興運動についての調査研究を行なう。
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Research Products
(3 results)