2015 Fiscal Year Annual Research Report
二要素(取込み量+毒性)同時解析による新規ナノマテリアルリスク評価法の開発
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15H06893
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
豊岡 達士 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, その他部局等, 研究員 (40423842)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ毒性 / ナノマテリアル / 取り込み量 / フローサイトメーター |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノマテリアル作用による影響として、酸化ストレス、遺伝毒性、炎症、細胞死を想定し、それぞれの影響を反映する指標候補ナノ毒性指標として適切であるか否か検討した。ナノ粒子による酸化ストレスは細胞内活性酸素種量を蛍光試薬DCFH-DAで、遺伝毒性はリン酸化ヒストンH2AX蛍光免疫染色法で、細胞死はPI染色をすることで、ナノ粒子の細胞内取込み量と同時にフローサイトメータで解析できることを明らかにした。中でもPI染色による細胞死測定は手技が非常に簡便であり、ナノ毒性のスクリーニング目的としては、どの施設でも実施可能であると考えられた。実際に30種類以上の金属酸化物のナノ粒子を中心に、粒子細胞内取込み量と細胞死を同時解析した結果、細胞内取込み量とその毒性影響が必ずしも一致しない、すなわち、取込み量が多くても細胞毒性または遺伝毒性が低い粒子、逆に取込み量が少なくても細胞毒性または遺伝毒性が高い粒子があることが判明した。本研究のようにナノ粒子の細胞内取込み量に加えてその毒性情報を同時に提供する手法は優先的にリスク評価を進めるべきナノマテリアルのスクリーニング等に有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書の記載した内容をほぼ達成できたと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に見出した指標を様々なナノマテリアル (30種類程度)に対し応用し、その種類に対する取込みの量と影響の違いを系統立てて解析、ナノマテリアルの毒性を評価する。また、被検ナノマテリアルの中には、取込み量は多くて も毒性は低いもの、逆に取込み量は少ないが毒性が高いものが存在する可能性がある。従って、 ナノ毒性を示す原因がナノマテリアルの形状にあるのか、又は表面からの金属イオン放出量の差 なのかどうかを見極めるためにもイオン放出量を ICP-AES を用いて測定する。
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Research Products
(1 results)