2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00008
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
堀山 貴史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60314530)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | アルゴリズム / 列挙アルゴリズム / 計算幾何学 / 展開図 / 多面体 |
Outline of Annual Research Achievements |
列挙アルゴリズムは、与えられた制約条件を満たす解を一つだけではなく、すべて求めるための技術である。本研究では、逆探索や BDD (Binary Decision Diagrams; 二分決定グラフ)、ZDD (Zero-suppressed Binary Decision Diagrams; 零抑制型二分決定グラフ) といった列挙の要素技術を統合して、幾何図形の列挙アルゴリズムを設計する。本年度は、中心的な研究テーマとして、多面体の展開図の列挙を取り上げ、その適用範囲の拡張に取り組んだ。 多面体の展開図の列挙においては、これまで、1-スケルトン (与えられた多面体の辺と頂点からなるグラフ) において、辺にラベルが付いているとしてその切り開き方を示した辺ラベル付き全域木(すなわち、すべての点は連結で、各点の次数は少なくとも1であり、サイクルを含まない)を作るという手法がとられてきた。これにより得られる展開図は、辺を切り開いた辺展開図であるが、辺のみでなく面を切り開くことも許して展開した一般展開図へと適用範囲を広げるために、以下の手法を試みた。 まず、直方体の面を単位正方形に分割し、その単位正方形の各辺よりなるグラフを1-スケルトンとみなす。この1-スケルトンに対して全域木を求めても、もとの直方体の展開図とはならない。そのため、もとの直方体の8つの点を結ぶ木(すなわち、この8つの点は連結で、各点の次数は少なくとも1であり、サイクルを含まない)で、それ以外の各点においては次数が1でないこと(つまり、0、2、3、または4であること)を満たすものを求めることで、この直方体の正方形展開(単位正方形を組み合わせた形の展開図)が得られることを示した。また、この木の列挙アルゴリズムを設計することで、正方形展開の列挙手法を開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに、多面体の展開図の列挙において、辺展開によるによる展開図の列挙アルゴリズムを拡張することで、正方形展開による展開図の列挙アルゴリズムを開発している。このアルゴリズムにより、1 x 1 x 7 の直方体の正方形展開を与える切り方の列挙に 0.1秒、1 x 3 x 3 の直方体の正方形展開を与える切り方の列挙に 71.53秒、√5 x √5 x √5 の直方体の正方形展開を与える切り方の列挙に 354.64秒と高速に結果を与えることに成功している。実際、たとえば 1 x 1 x 7 の直方体の正方形展開は、同形なものを除去する前の状態で 6,671,469,328通り、1 x 3 x 3 の直方体の正方形展開は 37,054,664,336通りであり、ZDD(零抑制型二分決定グラフ)により圧縮しながら解を列挙する手法の利点が活かされている。また、上記の各直方体の切り方から、実際に 1 x 1 x 7 と 1 x 3 x 3 の2つの直方体の正方形展開をそれぞれ列挙し、共通の展開図を得るのに 7.7日を要した。さらに √5 x √5 x √5 の直方体の正方形展開を列挙して、これら3つの直方体の共通の展開図を得るのに、2.5日を要した。以上、Intel Xeon E5-2643 (3.3G Hz), 128 GB メモリの PC 上で単一プロセスにより、合計 10.2日で実行ができるようになった。これまで、CRAY XC30 上で 500以上の並列プロセスにより約2か月の時間を要していたため、1000倍以上の高速化を達成している。以上のように、当該年度の研究は好調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
多面体の展開図の列挙において、本年度に開発したアルゴリズムの更なる先鋭化を図る。具体的には、より大規模な直方体を対象に、その共通の展開図の列挙を試みる。たとえば、1 x 1 x 11、1 x 2 x 7、1 x 3 x 5 の3つの直方体の共通の展開図の探索も候補であるが、現在のアルゴリズムでは、メモリ容量の面からも計算時間の面からも困難が予想される。先の3つの直方体それぞれの正方形展開を得ることすら、これらの直方体の面が単位正方形 46個に分解できるが、ポリオミノ(単位正方形を辺々接着した図形)の列挙においても単位正方形が 45個の場合が既知の最大の結果であることからも、困難である。 これに対し、直方体の対称性を利用して探索空間の削減することで、メモリ容量の削減を図る。また、多面体の展開図の列挙においては、各辺にラベルが付いているとした辺ラベル付き展開図から同形な展開図を除去する必要があり、この部分でも膨大な計算時間を要するため、その計算時間の削減を図る。
|
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 色付きトークン整列問題の計算複雑さ2016
Author(s)
山中克久, 堀山貴史, カークパトリック ディビッド, 大舘陽太, 斎藤寿樹, 上原隆平, 宇野裕之
Organizer
情報処理学会, アルゴリズム研究会
Place of Presentation
湯の原ホテル (宮城県仙台市)
Year and Date
2016-01-21
-
-
[Presentation] Box Pleating is Hard2015
Author(s)
J. S. Ku, H. Akitaya, E. D. Demaine, T. Hull, K. C. Cheung, T. Horiyama, T. Tachi, R. Uehara
Organizer
18th Japan Conference on Discrete and Computational Geometry and Graphs
Place of Presentation
京都大学吉田キャンパス (京都府京都市)
Year and Date
2015-09-16
Int'l Joint Research
-
-
[Presentation] Ls in L and Sphinxes in Sphinx2015
Author(s)
T. Horiyama, Y. Okamoto, R. Uehara
Organizer
18th Korea-Japan Joint Workshop on Algorithms and Computation
Place of Presentation
Songdo Convensia, Incheon, Korea
Year and Date
2015-08-22
Int'l Joint Research
-
-