2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K00008
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
堀山 貴史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60314530)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 列挙アルゴリズム / 計算機科学 / 選挙区割り |
Outline of Annual Research Achievements |
列挙アルゴリズムは、与えられた制約条件を満たす解を一つだけではなく、すべて求めるための技術である。本研究では、逆探索や BDD (Binary Decision Diagrams; 二分決定グラフ)、ZDD (Zero-suppressed Binary Decision Diagrams; 零抑制型二分決定グラフ) といった列挙の要素技術を統合して、幾何図形の列挙アルゴリズムを設計する。本年度は、列挙アルゴリズムの応用として、選挙区の区割り問題や、多角形図形の組合せ問題に取り組んだ。
選挙区の区割り問題においては、区割りを行う領域内の市町村を頂点とし、その頂点間の接続関係を辺としたグラフを扱い、区割りをグラフの分割問題として扱う。具体的には、グラフから取り除く辺の集合を、結果として得られるグラフの分割と対応させることにし、辺集合を列挙することで、非明示的に区割りを列挙するアルゴリズムを提案した。この列挙のために ZDD をトップダウンに構築する際に、多くの場合には ZDD の各節点においてグラフの頂点数に比例する記憶領域を要するが、本アルゴリズムではグラフの頂点数の2乗に比例する記憶領域を要する。これは、計算の途中において、どの頂点集合とどの頂点集合の間の辺は取り除いたかを記憶しておくためである。これにより、どの頂点が同じ頂点集合に属すかが調べられるのみではなく、2つの頂点集合を1つに併合することが禁止されているかも調べることが可能となる。多角形図形の組合せ問題においては、多角形のピースの形が、これまで正方格子や三角格子上に配置できる形で表された問題が多く取り上げられていたが、黄金比の無理数の長さを含み、格子では表せないピースの組合せ方を調べるためのアルゴリズムを提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに、ZDD (Zero-suppressed Binary Decision Diagrams; 零抑制型二分決定グラフ) 列挙の要素技術を活用するとともに、ZDD 構築時に記憶する情報の汎化にみられるように、それらの技術をより広範囲の問題に適用できるように、アルゴリズムの深化を図っている。これにより、たとえば選挙区の区割り問題では、従来のアルゴリズムから自然と発想される全域森の列挙法では、同じ区割りを表す複数の列挙結果からそれぞれの代表のもの1つに絞り込むという同型性判定が必要だったが、提案手法ではそれを回避している。すなわち、記憶領域の多少の増大(実験的には許容範囲に収まっている)と引き換えに、同型性判定による絞り込みを必要としないという点で、注目に値するアルゴリズムを提案している。以上のように、研究は好調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに取り組んできた幾何図形の列挙アルゴリズムの更なる先鋭化を図ると同時に、そこで発展してきた技術について他の問題への応用を図る。具体的には、展開図に関する研究においては、より大規模な直方体を対象に、その共通の展開図の列挙を試みる。たとえば、1 x 1 x 11、1 x 2 x 7、1 x 3 x 5 の3つの直方体の共通の展開図の探索も候補であるが、昨年度の予備的な実験では、メモリ容量の面からも計算時間の面からも困難が予想される。この困難を乗り越えるアルゴリズムの検討とともに、この問題の周辺の問題について、直方体の展開図の性質を利用したアルゴリズムを検討することにより、元の問題へのフィードバックを図る。また、タイリング等の幾何的な問題に対して、その数理的な性質を利用することで、効率的な列挙アルゴリズムの検討を引き続き行う。
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[Journal Article] Sequentially Swapping Colored Tokens on Graphs2017
Author(s)
K. Yamanaka, E. D. Demaine, T. Horiyama, A. Kawamura, S. Nakano, Y. Okamoto, T. Saitoh, A. Suzuki, R. Uehara, T. Uno
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Journal Title
Lecture Notes in Computer Science
Volume: 10167
Pages: 435-447
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Box Pleating is Hard2016
Author(s)
H. Akitaya, K. C. Cheung, E. D. Demaine, T. Horiyama, T. Hull, J. S. Ku, T. Tachi, R. Uehara
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Journal Title
Lecture Notes in Computer Science
Volume: 9943
Pages: 167-179
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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