2015 Fiscal Year Research-status Report
デジタル文章表示における多感覚的文章認知特性の研究
Project/Area Number |
15K00389
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Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
植月 美希 青山学院女子短期大学, 現代教養学科, 准教授 (70431781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 英由樹 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70447035)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | デジタル文章表示 / 多感覚的文章認知 / 文章認知特性 / 心理物理学的手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、デジタル文章表示における文章の多感覚的認知特性を検討する。これまでの研究から、動的な文字表示では、文字の現れ方、表示速度によって、文章の印象が強く得られる条件があることが分かっている。この結果は、何度も実験を体験した、少数の実験参加者(エキスパート群)で確認されていた。しかし、エキスパートではない、多くの一般の実験参加者を対象に、実験を行う手続きを検討・開発することも今後の課題である(研究計画の手順2)。そこで、本年度は、複数のモダリティから文章を読み手に入力する方法を検討するとともに(研究計画の手順1)、大量の実験参加者に実験を実施することとした。 エキスパート群に対しては、従来、個別実験を行っていた。しかし、大量の実験参加者のデータを収集するためには集団実験における手続きを確立する必要がある。そこで従来の実験で得られた知見を下に、条件数を絞り、また刺激提示方法を一部変更した。その結果、200名程度を対象とした集団実験では、エキスパート群とは若干異なる結果の傾向が見られた。例えば、文字の現れ方に関しては、エキスパート群と同様に「ゆっくり文字が現れ、消えて行く」のが好まれたのに対し、最適な文字表示速度はエキスパート群よりも速くなった。これに関しては、200名程度の大人数を対象とすると、実験への動機づけが少人数の場合よりも低下してしまうこと、実験者の目が行き届かないこと、(前の刺激への回答に時間がかかる等して、次の)刺激をきちんと見ることが出来ない者が出ること等が考えられる。そこで、同様の手続きで、実験参加者数を減らし、実験を行った。その結果、5~20名程度の参加者数であれば、概ねエキスパート群と同様の結果が得られることを確認した。このような実験手続きで、次年度以降、従来よりも比較的大人数のデータを得て、より幅広い実験参加者の認知特性を検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、本来であれば、健常者(エキスパート群)を対象に複数のモダリティから文章を入力し、読文過程の認知に及ぼす影響を検討する予定であった(研究計画の手順1)。しかし、ベースとなる視覚入力(文字表示)に関しては研究を遂行する上で問題ないものの、聴覚入力(音声提示)、あるいは触覚入力に関しては、実験用ソフトウェアの変更・開発が間に合わず、満足の行く状況で実験を行うことが出来なかった。そこで、本来であれば次年度に行う予定であった、より幅広い健常者を対象に実験を行う手続きの検討を行った(研究計画の手順2)。本年度の実験で、概ね集団実験の手続きが確定したので、次年度以降はこの手続きも適宜使用しながら、複数のモダリティから文章を入力した際の認知特性を検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、健常者(エキスパート群)を対象に複数のモダリティから文章を入力し、読文過程の認知に及ぼす影響を検討する予定である(研究計画の手順1)。従来おこなっていた視覚刺激(文字表示)に加え、聴覚刺激(音声提示)を行えるように、準備を進める。なお、万一、実験用ソフトウェアの開発(音声刺激も提示できるように変更)がこれ以上遅れる場合には、例えば、音声刺激はCDから提示する等の工夫を行う、あるいは読み手自身に声に出させて音声刺激を入力させるなど、実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、業務の日程との都合上、予定していた出張に行けないことがあった。また、実験謝金支出を予定していたが学生のボランティアを募ることが出来た。このために、使用を予定していた旅費、実験謝金に余剰が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に刺激や集団実験の実験手続きを概ね確定したため、上述の余剰の研究費に関しては、次年度、音声刺激作成費(アナウンサーによる音声刺激入力)等に充当し、実験を行う予定である。
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