2016 Fiscal Year Research-status Report
T細胞受容体シークエンスデータ解析手法の開発と細胞集団多様性の理解
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15K00399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 類 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (90380675)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオインフォマティクス / 免疫細胞集団シークエンス / 適応免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までに開発した既存のリファレンス配列に基づくTCRレパトア精密決定解析基盤を元に、既存リファレレンス配列に含まれない新規エクソン配列の探索法の開発を進めた。 まず既存の配列に対して、小規模な変異(一塩基置換および短い欠失挿入変異等)を持つ新規遺伝子配列群候補群をターゲットとした探索法の開発を進めた。ここでは上記の解析基盤から得られた、各配列リード中に含まれるV、(D)、J、C遺伝子セグメント推定情報に加え、リード配列の各リファレンス配列に対するミスマッチ情報を精査することで変異を含む配列群の探索を行う方針で開発を進めた。またシークエンスエラーによる擬陽性検出の可能性を低減させるために、同一サンプル由来のシークエンスリード群において、候補変異が、異なるV(D)J遺伝子セグメントの組み合わせでの検出頻度や、また他検体での検出頻度を考慮にいれたフィルタリング法を検討することで、より精度の高い新規遺伝子セグメント候補群の検出を行うことができるようになった。 更に上記の小規模変異を含む配列よりも、より類似度の低い新規遺伝子配列候補群の探索法の開発も進めた。これに関しては、上記の解析基盤における解析において、V(D)JC遺伝子セグメントを、部分的に検出出来なかったリード群の中から、新規遺伝子配列候補群を探索する方針で開発を進めた。上記の部分的非決定配列群を高精度に解析する方法を検討し、更に小規模変異を含む配列と同様の方針でフィルタリングを行うことで、有望な候補群検出を行うことができるようになった。また得られた候補配列の中に含まれる配列群を詳細に検討することで、新規遺伝子配列の生成機序に対する考察も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿ってTCRレパトア精密決定のためのデータ解析基盤の開発が進み、それを利用して、予定していたTCR配列を含むシークエンスリード群から新規遺伝子候補配列群を探索する手法の開発を進めることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度までに開発されてきた手法の改良を進めると共に、様々な条件で得られたデータ、特に時系列的に得られたからデータから、背後にある免疫細胞システムの変化に関する情報を抽出するための手法の開発を推進する。また現状データが時系列で得られることは少ないが、非時系列的なデータは大規模データ公共データベース群に蓄積され利用可能になりつつある。それらは必ずしも免疫細胞をターゲットとした計測データではないが、それらからも免疫細胞の多様性および周辺細胞群との相互作用に関する情報を抽出できる手法の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
年度末近くの海外会議に出席し、旅費が当初の想定よりも安く済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の解析用ソフトウェアの購入に充て活用する予定である。
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