2016 Fiscal Year Research-status Report
青少年の不健全なインターネット利用(PIU)に関する構造的要因と対策の探究
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15K00459
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 賢一 群馬大学, 社会情報学部, 教授 (80293497)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 青少年 / インターネット / スマートフォン / 依存 / 長時間使用 / Kスケール |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、前橋市教育委員会ならびにNPO青少年メディア研究協会と連携して、前橋市内のすべての小中学校の生徒(小学生は5・6年生、中学生は全学年、各学年から1クラス抽出)とその保護者を対象としたアンケート調査を実施した。調査期間は平成28年9月15日~9月30日、対象となった小学生は、5年生1,218人、6年生1,346人、中学1年生1,122人、中学2年生1,166人、中学3年生1,211人、保護者はいずれも生徒と同数である。キョウダイがいる場合でも、それぞれ回答をお願いした。 調査の目的は、小中学生のインターネット利用の実態を解明し、不適切な利用(とりわけ過度の長時間使用)傾向を探ることである。依存傾向の測定には、前回に引き続き、韓国で開発されたKスケールを用いたが、文言を訂正した箇所がある。 主な知見として、小学生の「子供用携帯電話」の所持率が増加していること、利用目的はLINEのような他者とのコミュニケーションと、ゲームや動画閲覧のような娯楽に大別されるがこれは昨年度と同様の傾向である。不適切な利用傾向を示している生徒の割合も、昨年度と同様の傾向であるが、とくに小学生男子の依存傾向が強く出ている(11.2%)ことが特徴的で、どのような要因が押し上げてるのか目下分析中である。 平成27年度調査の結果を、28年7月にウィーンで開催された世界社会学会議(ISA)社会学フォーラム、ならびに9月に札幌で開催された社会情報学会で報告する予定であったが、代表者の私的な事情(家族の入院)のために中止せざるを得なかった。29年度に改めて関連学会で報告することとしたい。 平成27年度調査の結果を論文にまとめたものは「小中学生のネット依存に関するリスク要因の探究 ― 群馬県前橋市調査より ― 」として平成29年3月に発表済である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
青少年の不健全なインターネット利用について、包括的かつ継続的に調査を行い、その促進要因や影響を探ることが本研究の焦点である。前年度に引き続いて、継続して調査ができたこと、とりわけ、同じ生徒を追跡したパネルデータを得られたことは貴重な成果である。この問題に関して、横断的な調査は多いものの、継続して同じ対象を調査したものは多くないので、重要な貢献ができるものと考える。今後は、このデータを分析して不健全な使用のメカニズムに迫る作業を行う必要がある。 平成28年度は私的な事情により、学会での研究成果の発表は見送らざるをえなかったが、論文としての発表はできた。新しいデータと合わせた分析の成果を、関連学会での報告や論文の形で発表していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
前橋市内の小中学生調査はさらに継続して行う予定である。パネル調査を行っている、平成27年度の中学1年生、平成28年度の中学2年生は、平成29年度には中学3年生になるので、引き続き協力してもらい、3年に渡る継続的データを収集する予定である。 前年度、高校生調査が課題と考えていたが、近年のネット機器利用の若年化を考えると、むしろ小学校中学年や低学年の生徒・児童を対象にした調査が必要になる可能性がある。教育委員会関係者と協議して、可能であれば対象を低学年に拡げることも考えたい。
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Causes of Carryover |
平成28年7月にISA社会学フォーラム(ウィーン大学)で報告する予定でエントリー済であったが、私的な事情によりキャンセルせざるを得なかった。この旅費に充てるはずの経費が使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
他の関連学会等での報告を計画している。
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