2015 Fiscal Year Research-status Report
金銭的、非金銭的インセンティブの相互作用と情報提供・経済行動の学際研究
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15K00473
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
中泉 拓也 関東学院大学, 経済学部, 教授 (00350546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 正寛 武蔵野大学, 経済学部, 教授 (40114988)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不完備契約理論 / ホールドアップ問題 / VSRPD / 行動経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、本科研の実験のみならず、これまでの研究成果をふまえ、経済実験を基軸として、社会選好や相互関係、宗教等の効果も含め、金銭的、非金銭的なインセンティブの影響と相互連関を考察する。本年度は、パキスタンで、提携解消権付繰返囚人のジレンマゲーム(voluntarily separable repeated prisoner’s dilemma, VSRPD )の経済実験を行うと同時に、研究分担者の藤原を中心にこれまで東京大学で行って来た実験とを比較し、特徴について比較検討した。 Okuno-Fujiwara[2008]にあるように、通常の繰り返しゲームに比べると、VSRPDでは、協力しない被験者の割合が理論的に増加することが示されている。実験では、日本、パキスタン両ケースで通常の繰り返しゲームよりも提携解消オプションが導入される方が協調する割合が低下し、裏切ることで、短期的利益を得る被験者の数が増えるという理論的にも整合的な結果を得ることができた。 また、日本とパキスタンでの被験者の行動の違いを分析した結果、日本の被験者は本学、東大ともに大きく変わらないのに対して、パキスタンでは、協調する被験者の割合がさらに低下するという興味深い結果を得ている。今後は、この相違がどういう要因に基づくかを新たな実験を用いて行うことが課題である。 次に、中泉は、不完備契約のモデルを用いて、契約の不完備性に基づいた、途上国での規制の問題と、情報の問題について、立証可能性の観点から理論モデルを構築して分析した。途上国では、インフレーションが大きい場合、正確に立証できない場合、仮にプライスキャップ規制を導入したとしても、インフレーション調整価格が事後的に確実に修正することにコミットできないため、事前の投資水準が過少になり、ホールドアップ問題が発生することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、1.内外の経済実験、2.クイズキャッチャーの経済分析、3.トップランナー基準とエコラベルによる情報提供について分析することを中心とし、オンラインジャーナルの価格付け、SNS での情報提供等を分析することを当初の目標としている。本年度は、特に1を中心に行い、上述の成果を得たものの、2に関しては、事業環境の悪化により、研究環境を確保できず、十分な研究が出来ていない。また、3についても、エコラベルによる情報提供の問題よりも、プライスキャップ規制によるインフレーションの価格調整能力の限界がもたらすホールドアップ問題を中心に分析した。そのため、来年度は2,3についても研究する予定である。また、日本とパキスタンでの実験結果の相違について、どのような要因が考えられるかについても、さらなる実験で検証する。
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Strategy for Future Research Activity |
2.クイズキャッチャーの経済分析については、アンケート調査を行い、3.トップランナー基準とエコラベルによる情報提供についても、ヒアリング調査を行う。また、SNS での情報提供等を分析に加え、誤表示問題のモラルハザードモデルの構築を行う。また、日、パキスタンで、さらなる実験を行う。
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Causes of Carryover |
当初、2.クイズキャッチャーの経済分析、3.トップランナー基準とエコラベルによる情報提供についての分析の費用も当初年度に支出していたが、当該年度は1を中心に行ったため、これらの予算を次年度に持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2.クイズキャッチャーの経済分析、3.トップランナー基準とエコラベルによる情報提供についての分析についても、今年度行う予定である。
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Research Products
(13 results)