2016 Fiscal Year Research-status Report
金銭的、非金銭的インセンティブの相互作用と情報提供・経済行動の学際研究
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15K00473
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
中泉 拓也 関東学院大学, 経済学部, 教授 (00350546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 正寛 武蔵野大学, 経済学部, 教授 (40114988)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 情報提供 / デジタルコンテンツ / 不完備契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、研究代表者の中泉が、不完備契約理論に基づき、価格情報が立証できない場合のプライスキャップ規制への問題について考察した。特に、物価上昇率が高い途上国において、プライスキャップ規制を行うことの問題点について考察した。途上国の政府の場合、正確なインフレ率を特定し、それを立証することが難しい場合があることが考えられる。このとき、プライスキャップ規制するために価格が固定された後、高い物価上昇率が生じた場合、当初の固定価格をインフレ修正することが難しいと考えられる。その結果、高い物価上昇率の場合にホールドアップ問題を引き起こすことが示された。 次に、連携研究者の田中とともに、webアンケート調査により、無許諾コピーが正規版の売り上げにどれだけ影響を与えているかを調べた。 無許諾コピーが無いとき、価格pのもとでxだけの人が正規の音楽を購入していたとする。ここで無許諾コピーが登場すると価格ゼロで利用できるのでyだけの人が無許諾コピー品を利用する。もしxの人も無許諾コピー品を利用し始めて正規品の購入を減らせば被害が発生する。しかし、仮にxの人が購入を減らさず、正規品を買い続けたとしよう。この時、被害は発生していない。しかしながら、サーベイ調査すると無許諾コピーを利用しない人xは正規品を購入し、無許諾コピーを利用するyは正規品を購入していないから、無許諾コピーの利用と正規品購入には非常にはっきりと負の相関が現れる。このサンプリングバイアスを防ぐために操作変数法などが試みられるが、当初のバイアスは巨大であり、十分な補正が行えるかどうかには疑問がある。比較的望ましい調査方法は、個人を固定し、無許諾コピー利用の開始前と開始後でその個人の音楽購入量がどう変化したかを見る事である。そのためには2時点に渡り同じ個人について調査する必要がある。本調査はこれを試みたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的に予定通り研究は進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られたサーベイデータ、実験データを分析し、成果を国際学会で公表する。
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Causes of Carryover |
webアンケートの支出が予定より下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
その分を翌年度の経済実験、学会報告、その他謝金などに支出する。
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Research Products
(12 results)