2015 Fiscal Year Research-status Report
画像処理技術と生物光学を融合した新型海洋一次生産者別基礎生産算出アルゴリズム
Project/Area Number |
15K00513
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 貴文 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 特任准教授 (80576231)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 一次生産 / 基礎生産 / 海色 / リモートセンシング / 生物光学 / 群集別 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工衛星から地球海洋の海色を観測する遠隔探査(衛星海色リモートセンシング)は、海洋の生物量を観測できる唯一の遠隔探査手法として、海洋内の浮遊植物(植物プランクトン)の生物量指標の観測を可能にしてきた。近年では海洋内部の生態学的又は生物地球化学的機能をより詳細に明らかにするため、植物プランクトン群集別に光合成速度を衛星観測しようとする試みが、世界の第一線の研究者達により挑戦されている。本研究では、これら群集別光合成速度を、画像解析と生物光学を融合させた今までにない斬新な手法を用いて推定することを目的とする。本研究は研究開発段階を3つに分けている:(1)手法自体の開発,(2)手法の改良・最適化,(3)新たしい手法を用いたデータ解析による海洋生態学における新たな知見の探索。本年度は(1)を行った。 具体的には、生物光学的な理論や法則を発展させ、複数のグループの光合成速度が衛星観測可能な物理量とどのように関係しているかを数学的に導きだし、複数グループの光合成速度を対象とする統計学的問題へ変換した。また、衛星画像内における空間的に近傍の画素複数を利用することで、上記統計の履行を可能にし、それを画像内で繰り返し連続して画像処理をすることで、複数グループの光合成速度を、同時に且つ画像内の全領域に対して、推定する手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、植物プランクトン群集別光合成速度を推定する手法を開発するために、いくつかの副研究項目課題があった。具体的には、生物光学モデル内に現れる植物プランクトン光合成以外の変数の衛星からの推定や、それをもちいた中間変数(最終的には利用されないが、植物プランクトン群集別光合成を推定する上で、必須の変数)の導出であった。今年度は、これら副課題を早期に達成し、結果として、今年度課題であった植物プランクトン群集別光合成自体の推定を行うだけでなく、10年以上分の衛星データをすでに前処理することで、来年度行う予定であった群集別光合成の推定手法の改良・最適化にむけたデータの作成の一部をすでに進めることができたため、当初の計画以上に進展していると結論する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた来年度計画(今年度開発した衛星観測手法の最適化と、それを用いた衛星データの整備)を早期に実施し、海洋生態学的な解析の早期着手を目指す。
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Causes of Carryover |
平成27年後半に開催予定されていた「Analysis, Integration and Modeling of the Earth System (AIMES)」の会議が平成27年4月15日時点で主催者の都合で中止されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画していたが中止となった当該会議が今年度再開されるのであればそれに参加する旅費に使用し、そうでなければ、当初研究計画より実際の研究が進んでいることを考慮して、さらなる研究解析に必要な物品購入などに使用する予定である。
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