2016 Fiscal Year Research-status Report
短期・長期的な環境変動に対する通導系の制御機構が森林の蒸発散に与える影響の解明
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15K00522
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鎌倉 真依 京都大学, 農学研究科, 研究員 (40523840)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水利用 / ガス交換 / 水ポテンシャル / 貯水能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、樹体内の通水性の制御機構に注目し、通導系のどの部位に、どの程度の貯留が生じているのかを明らかにすることを目的としている。 前年度に引き続き、滋賀県大津市の桐生水文試験地に生育するヒノキ個体を対象に、幹下部、幹上部、枝にICT社のステムサイクロメーターを設置し、水ポテンシャルの連続観測を行った。今年度は、前年度から行っていた、樹齢60年生のヒノキに加えて、樹齢100年生のヒノキ個体も測定対象とした。同時に、テンシオメータによる土壌水ポテンシャル、グラニエ法による幹下部、幹上部、枝の樹液流速度の測定も行った。 幹の水ポテンシャルおよび樹液流速度の日変化は、幹上部と下部でタイムラグを示した。朝方に、幹上部の水ポテンシャルまたは樹液流速度は、幹下部よりも2時間遅れて低下/上昇を開始し、夕方の回復も幹上部の方が遅かった。このことから、前日の夕方に幹内に貯留した水を翌日の蒸散開始時に利用していることが示唆された。 また、幹水ポテンシャルは、樹齢100年生のヒノキの方が、樹齢60年生のものよりも低かった。この原因については、今後樹齢100年生のヒノキの葉の水ポテンシャルを測定するなどして検討していきたい。 今年度は、出産のために産前・産後休暇を取得したため、途中フィールドでの観測やデータの解析を行うことが困難になった。共同研究者が、フィールドに設置している機器のメンテナンスやデータ取得は行ってくれていたが、今後は取得したデータの解析を進めるとともに残りの観測をできるだけ早く進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、出産のために産前・産後休暇を取得したため、途中フィールドでの観測やデータの解析を行うことが困難になった。共同研究者が、フィールドに設置している機器のメンテナンスやデータ取得は行ってくれていたが、今後は取得したデータの解析を進めるとともに残りの観測をできるだけ早く進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、樹齢60年生のヒノキと樹齢100年生のヒノキの樹体内水ポテンシャル分布の違いについて調査・検討を行う。個体サイズによって水ポテンシャルの値にどの程度の違いがあるのか、それは吸水能や貯水能にどのように影響するのかについて明らかにする。 また、ヒノキの組織別の貯留能をより詳しく調べるために、「切り木実験」による貯留量の定量化を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は出産のために産前産後休暇を取得したこともあり、当初の計画よりもフィールド観測に行く機会が減り、観測にかかる物品費および旅費の使用額が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、前年度までの観測に加え、切り木実験を行うことを計画している。この実験のために、新たに必要になる測定機器や調査旅費に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)