2015 Fiscal Year Research-status Report
低温溶融ガラスを用いた浮上性リン吸着材の開発とバイオマス廃棄物からのリン回収
Project/Area Number |
15K00605
|
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
原田 浩幸 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (20222234)
|
Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
|
Keywords | リン吸着 / ガラス発泡体 / 担持 / 鉄 / 脱着 |
Outline of Annual Research Achievements |
リン鉱石枯渇のシナリオは、CEEP(ヨーロッパ化学工学評議会とリン酸工業協会の主催する団体)でまとめられ,約50年後には全リン資源の約50%まで消費されるという予測結果が発表された.わが国は,リン鉱石をまったく産出できないために,国内で消費されるリンの全量を,海外からの輸入に頼っている.しかし,リン鉱石資源の枯渇が進む中で,産出国による輸出制限による資源の囲い込みもあり,わが国が海外でリン資源を確保することが年々難しくなってきている. このような事態に対処するため,国内で使用したリンを環境中に使えない形で排出放棄しないで再利用できる技術を確立し,それを長期的かつ安定的なリン資源の確保をすることがより大切となる.そのメソッドとして吸着法は簡易であるところから,いろいろな吸着剤が提案されている.現実的には連続処理が求められるの,固液分離や目詰まりの観点から吸着剤の粒径はある程度の大きさが必要である. 本申請題目では排ガラス発泡体を吸着材の母材とする。比重が1より軽く,浮上するのでSSが混入した状態でも吸着剤が浮上しているので,目詰まりによる圧力損失が著しく増加しない.たとえ目詰まりになっても,捕捉された粒子の洗浄も担体に遥動を与えるだけで容易に解消できると考える.吸着の機能については安価な鉄イオンを利用し浮上性発泡ガラスに鉄を担持させその吸着特の強化をはかり、また脱着特性について検討した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
追加採択が10月だったので,やや遅れ気味であるが回復可能と考える. 浮上性のリン吸着剤によりカラム通水連続処理に利点をつくることを目的として,本論文では廃ガラス発泡体を2cm程度のほぼ球状に整形し第2鉄イオンを担持させて吸着材とした.リン溶液で10ppmのリン濃度の吸着処理に適したpHは3~4で,2~6で範囲で80%以上の吸着率となった. 組成の中の珪酸と酸化アルミニウムの比が小さいほうが吸着率は高く,その比5,10で吸着率は90%以上となる。最大飽和吸着量は直径が大きいため1mg/gであった。脱着率はpH12~13の水酸化ナトリウム処理で80%以上となった.他陰イオン共存調整溶液に対してその影響は小さく,6ppmの浄化槽の処理水に対しても,吸着率はほぼ100%となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
吸着能については高い数値とは言えないので,粒径を小さくしたり,発泡体の成分も考慮した硝酸鉄の担持量の増加を検討する予定である.そして通水実験について詳細に検討する予定である.
|
Causes of Carryover |
採択が追加により10月に採択の公示うけたため、機材調達などに若干の遅れが生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初申請内容に追いつくように機材の調達をおこなう。
|