2016 Fiscal Year Research-status Report
オゾンマイクロバブルと省エネ型嫌気好気法による食品加工廃棄物からのエネルギー創出
Project/Area Number |
15K00647
|
Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
山崎 慎一 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 教授 (60290821)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 廃棄物再資源化 / オゾンマイクロバブル / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請の研究は、飲食店や食品加工の厨房施設において、産業廃棄物として処理・処分されてきたグリストラップ内の油脂排水をオゾンマイクロバブルで生物分解し易い物質に分解させ、それを省エネ型嫌気好気法によってメタンエネルギーへと再資源化するシステムを提案するものである。 平成27年度は、グリストラップ油脂排水を省エネ型嫌気好気法によって再資源化を検討する前段階として、オゾンマイクロバブル室内実験装置を製作して、油脂を効果的に嫌気処理し易い物質に変換するための諸条件を明らかにした。オゾンガスは紫外線ランプ式発生機で生成させ、そのオゾン含有空気をマイクロバブルにして排水が入った密閉ポリタンクに供給した。排水は高知工業高等専門学校学生食堂の厨房施設に設けられたグリストラップから採取したものを使用し、時間経過に対して水質分析を行った。その結果、マイクロバブルでオゾンを供給すると、明らかな油脂濃度及び高級脂肪酸濃度の減少を確認することができ、処理温度の上昇による油脂の分解性の向上も期待できることを確認した。 平成28年度は、2槽直列式UASB反応槽とDHS反応槽を組み合わせた省エネ型嫌気好気法の室内実験装置を製作した。1槽目UASB槽では油脂及び高級脂肪酸の分解、2槽目UASB槽では低級脂肪酸を分解してメタン生成を行い、後段のDHS槽では処理水を安定的に清澄化させるシステムである。オゾンマイクロバブルで前処理した油脂排水を原水タンクに投入し、苛性ソーダでpH調整後、原水ポンプによりUASB反応槽に供給した。UASB槽内の水温は流入水を温水循環装置で加温することで調節した。原水及び各反応槽の処理水は定期的に採水し、pH、SS、BOD、CODcr、n-ヘキサン抽出物質などの水質分析を行い、流入負荷に対する処理水質やメタン生成状況などを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オゾンマイクロバブルは油脂分解に効果があることを確認し、それにより前処理された排水を使用して省エネ型嫌気好気法の室内装置によって連続処理実験を継続中である。現在までの成果として、UASB反応槽を30℃程度に維持し、CODcr容積負荷を2~3kg/m³・日まで徐々に増加させたが、DHS処理水は排水基準を十分に満足する良好な水質が得られている。また、UASB反応槽のメタンガス量はCODcr容積負荷に応じて増加し、メタン含有率は50~60%の値を確認した。この連続実験の実施と合わせて、排水中に含まれる油脂及び高級脂肪酸の嫌気分解性を促進させる条件をバイアル実験によって確認する予定であったが、使用する汚泥が量的に不足していたため実験に着手できていない。今後、汚泥が確保でき次第検討を始める予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の予定として、室内連続実験装置によるCODcr容積負荷のさらなる増加に対する処理水質及びメタン回収の確認を行っていくとともに、嫌気分解性を促進させる条件をバイアル実験によって確認する。バイアル瓶に適量の無機塩類、pH 緩衝剤、還元剤が入った培地に油脂で培養した嫌気性汚泥とテスト基質を投入して、所定温度に設定した恒温槽に入れて連続振とう培養を行う。経過時間毎に培養液を採取して油脂、高級脂肪酸、低級脂肪酸の濃度を分析して、各々の条件(テスト基質の種類や濃度、培養温度など)における分解速度を評価する。バイアル実験による阻害性の検討結果を連続処理実験において検証し、本システムの有効性や実用可能性を評価してまとめを行う予定である。
|
Causes of Carryover |
バイアル実験を行うための消耗品を購入する予定であったが、実験準備の関係で29年度に実施することになったため予算を残すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
バイアル実験によって嫌気性微生物に対する油脂又は高級脂肪酸の阻害性の検討を行い、その結果を連続実験に反映して処理性能とメタン回収の確認を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)