2015 Fiscal Year Research-status Report
環境問題報道におけるメディアフレームとその受容に関する実証的研究
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15K00661
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
川端 美樹 目白大学, 社会学部, 教授 (50234117)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境問題報道 / 環境観・自然観 / 内容分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績の概要は以下の通りである。まず、環境問題報道の内容分析に関する先行研究、メディア接触と環境問題への意識の関連に関する先行研究、またメディア報道のフレーミングに関する先行研究、さらに日本人の環境観・自然観、環境問題への意識についての先行研究を収集し、分析した。特に環境問題報道の内容分析の枠組みの参照とするため、メディアフレームと日本における環境観について、2015年7月にカナダ・モントリオールで開催された国際メディア・コミュニケ―ション学会のEnvironment,Science and Risk Communication Working Groupにおいて発表した(発表タイトルは"Japanese view of nature and the construction of meaning about the environmental issues")。概要としては、西洋的な環境観と日本の環境観の比較を先行研究のデータによって行い、日本の環境問題報道における新たな分析フレームを提案した。 次に、学会発表を行った内容を元に、テレビニュースおよび新聞における環境問題報道の内容分析を行った。なるべく多くのニュースおよび記事を対象とするため、期間は2015年11月29日から12月15日、フランス・パリにおいて国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催された期間に行った。分析対象としては、テレビニュースは視聴率の高いニュース番組3番組(NHK・ニュース7、NHK・おはよう日本、テレビ朝日・報道ステーション)を選び、また新聞は朝日新聞および読売新聞を用いた。コーディング項目には環境問題の報道量、扱われている環境問題、言及されている原因、責任の所在、呈示様式、報道のフレーム、環境観・自然観、報道のタイプなどである。現在結果を集計および分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究のレビューについては、収集した資料をまとめつつ、得られた知見について学会発表を行った。発表の際には、他の参加者から有用なコメントや意見を得ることができた。また、その結果を参考にしながら、内容分析の準備を行った。 内容分析においては、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が11月30日から12月13日まで開催されたため、その期間を中心にテレビニュース番組・新聞報道における環境問題報道を分析した(現在詳細な分析の途中である)。 研究応募時の計画内容と照らし合わせて、おおむね予定通り研究が進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度には内容分析の結果の分析を行いつつ、深層面接を計画し、実施する予定である。対象者は30名程度、年齢は10代から60~70代までの幅広い年代の男女に面談を行いたいと考えている。 内容分析については、昨年度は国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)の時期に行ったため、その内容が外交や会議に偏る傾向があった。そのため、会議の影響がない時期にさらに2週間分程度、補足として環境問題報道の内容分析を行うことを考えている。会議中、会議のない時期の両方の結果を参考にしながら、深層面接での質問項目を確定し、面接を行う予定である。 さらに、順調に深層面接の結果の分析が進んだ場合、年度の後期に対象者500名程度の一般サンプルに質問紙調査を行う予定である。 今年度は国際メディア・コミュニケ―ション学会及び日本社会心理学会において、内容分析の結果を発表する予定である。7月27日から31日までレスター大学(イギリス)で開催される国際メディア・コミュニケ―ション学会においては、すでに発表概要の選考を通過し、発表が確定している。
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Causes of Carryover |
環境問題報道の内容分析を2月より分析中であるが、その分析補助のアルバイト代の一部(3月分)が2016年度の支出になるため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月以降の環境問題報道の内容分析補助のアルバイト代が2016年度の支出になる予定である。また、2016年度に補足として内容分析をさらに2週間分行う予定のため、その分析補助の費用も次年度使用額によって用いる予定である。 年度の後期に予定されている一般サンプルを用いた調査は、予算不足が懸念されるため、その補てんとして用いることも考えている。
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Research Products
(2 results)