2017 Fiscal Year Research-status Report
オントロジーを用いた環境共生への地域ストーリーの共同構築手法の開発
Project/Area Number |
15K00674
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
熊澤 輝一 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (90464239)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 道徳 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 主任研究員 (90573923)
鎌谷 かおる 総合地球環境学研究所, 研究部, 特任助教 (20532899)
岩見 麻子 法政大学, 地域研究センター, P・D (80750017)
|
Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
|
Keywords | 地域ストーリー / 環境共生 / 対話 / 共同構築 / 知識デザイン / 過去と未来の融合 / オントロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域の将来設計において、環境共生社会とそこに至るストーリーを共同構築する手法を導入し、オントロジー工学の技術を援用しながら共同構築する新たな手法を開発することを目的としている。この目的を果たすために、平成29年度は以下の四項目を計画し、実施した。 (1) 過去・現在の地域の見かたを示す情報の整理(継続):平成26年度に実施した「へしこ」を題材としたワークショップで話し合われた内容や話題の広がりを可視化した結果について、国際会議発表と論文投稿を行った。 (2) 地域ストーリーの共同構築に至るプロセスの共同設計:構築プロセスそのものを研究協力者等と共同で設計した。まず、共同構築のための勉強会を地域の利害関係者と実施した後、研究協力者との検討、地域の利害関係者への聞き取りを経て、個人で作る個別ストーリー構築の方法として、対象地域の将来イメージと対象地域らしいエピソードを問うことが適していることを明らかにした。 (3) 地域の利害関係者が参加した地域ストーリー共同構築の実験:地域の利害関係者への地域らしさと将来イメージに関する聞き取り調査を通して個別ストーリーの要素を抽出した。聞き取り調査は研究協力者による支援を受けながら、8月から12月にかけて、12グループ延べ55名に対して実施した。この結果を共同構築する地域ストーリーに組み込むために、11月から2月にかけて市場地区を会場にワークショップを4回シリーズで実施した。ワークショップでの絵図とグラフ作成を通して、地域のあるべき環境共生社会の像と、これに至るまでの地域ストーリーのコア・ストーリーを設計した。 (4) オントロジーによる地域ストーリーの評価:構築した地域ストーリーが、環境・サステイナビリティ領域の一般的な体系と比較してどのような特徴を持つのかを把握する方法を検討し実装した結果について、国際会議発表と論文投稿を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・過去・現在の地域の見かたを明らかにし、将来へ残していきたいものを把握する機会として古写真を用いた連続ワークショップを平成28年度に実施したが、その派生的な企画として古写真を用いて過去を語り合う企画を木地山地区にて実現した。 ・地域の利害関係者への地域らしさと将来イメージに関する聞き取り調査の結果について、朽木地域の文化祭に参加し、本ワークショップの成果の一部を地域の方々に広く紹介することで事業の進捗状況を周知し、共同構築への参画の要請と手法の普及を図った。 ・地域の将来ストーリーを共同構築するための連続ワークショップの結果を、朽木地域での催事、文化祭で報告する準備を進めている。また、地域ストーリーの構築状況について、地域の利害関係者へ報告する機会を設けることを研究協力者等の協力を得ながら実施することを計画している。 ・社会-生態システムの持続可能性を記述したオントロジーの組織化と拡充が進んでいる。 これらの進捗により、地域ストーリーの共同構築に向けて十分な準備が進められている状況にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) 地域ストーリーの共同構築に至るプロセスの共同設計(継続):地域ストーリーの共同構築プロセスそのものを研究協力者および朽木住民福祉協議会等と共同で設計する作業を継続する。具体的には、環境共生社会とそこに至るストーリーを共同構築する手法として、(A)古写真ワークショップで得られた地域の自然・文化に対する見かた、過去の状態と変化の経験に関する知識、将来へ残していきたいものと、(B)地域の将来ストーリーを共同構築するための連続ワークショップで得られた地域のあるべき環境共生社会の像と、これに至るまでの地域ストーリーのコア・ストーリー(30年後に向けた流れ)を統合することで地域ストーリーとする。そのための枠組みと構成を、電子版ブックレットの作成作業を通して設計する。 (2) 地域の利害関係者が参加した地域ストーリー共同構築の実験(継続):地域の将来ストーリーを共同構築するための連続ワークショップで得られた地域のあるべき環境共生社会の像と、これに至るまでの地域ストーリーのコア・ストーリーを用いた地域の利害関係者との対話の機会を設定し、ここでの対話を通して地域ストーリーの編集と構築を進め、最終成果物を電子版ブックレットの形で公開する。 (3) オントロジーによる地域ストーリーの評価(継続):社会-生態システムの持続可能性を記述し拡充したオントロジーを用いて、共同構築した環境共生への地域ストーリーが、環境・サステイナビリティ領域の一般的な体系と比較してどのような特徴を持つのかを把握する。 (4) 地域ストーリーの共同構築手法の評価と汎用的枠組みの提示:参加者へのインタビューあるいは成果報告会を通して共同構築手法を評価した後、手法の汎用的な枠組みを提示する。
|
Causes of Carryover |
【理由】オントロジーの技術開発に関する打ち合わせに係る旅費および成果公開に係る経費(国内旅費、学会投稿料、論文別刷代、学会参加費、国際会議参加費等)については、科学研究費助成事業・基盤研究(B)「領域横断型知識統合と領域深造型意味処理を融合するオントロジー利用フレームワーク」(代表:古崎晃司)より支出することができた。また、環境共生、未来社会、地域ストーリーデザイン、共同構築、オントロジー等に関する文献等については、科学研究費助成事業・基盤研究(C)「将来社会ビジョンの実現に向けた住民参加型地域社会モデルデザイン手法の開発」(代表:木村道徳)より支出することができた。以上より、オントロジー関連および情報収集のための文献の支出を他経費で支出できたことにより、次年度への使用額が生じた。
【使用計画】1.事例対象地での聞き取り調査、地域ストーリーの共同構築実験の実施(継続)等に係る国内旅費を支出する。2.地域ストーリーとその共同構築過程を収録した電子版ブックレットについて、地域の利害関係者に配布するための印刷製本費を支出する。
|
Remarks |
http://tkkc.shiga-saku.net/e1350890.html, http://tkkc.shiga-saku.net/e1352021.html, http://tkkc.shiga-saku.net/e1352039.html いずれも研究協力者である、たかしま市民協働交流センターのブログに掲載されたもの。原稿は素案を研究代表者が作成し、同センターで編集したものを発信している。
|
Research Products
(6 results)