2017 Fiscal Year Research-status Report
製品環境規制が貿易とサプライチェーンを通じて企業に与える影響
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15K00675
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
道田 悦代 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター環境・資源研究グループ, 研究員 (10450529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋嶋 郁 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 准教授 (70720647)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 製品規制 / 環境政策 / 貿易 / 企業 / サプライチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
消費者の健康や安全、環境保護を目的とする製品規制(製品環境規制)が世界で増加している。EUをはじめとする重要な市場で導入される製品環境規制は、規制国の環境保全を目的とする一方、規制実施国を製品の仕向地とする製造業の企業に対応を迫り、規制コストは他国が負担している可能性がある。本研究では、製品環境規制が輸出国の企業に与える影響について、理論的、実証的に検討を行っている。 製品環境規制が貿易に与える影響として、2つのアプローチから検討を行っている。第一に、EUの貿易される製品の輸入差し止め事例やデータなどから、製品含有化学物質等の製品環境規制が、貿易の障壁になっていることがわかってきた。このため、これらの規制の影響を検討した結果、EU規制のみではなく、EU規制がアジアに波及した規制がさらに貿易障壁になっている可能可能性について検討している。 第二に、規制が企業活動に与える影響として、ベトナム、マレーシア、日本のデータを用いて、製品含有化学物質規制や要件を対象に、どのくらいの市場退出が起こっているのか、またサプライチェーンの管理方法が企業の属性ごとに異なるのかを検討した。この結果、市場退出はサンプルの4%程度にしかみられなかったものの、投入財を仕向け地ごとに変更して対応している企業がベトナムなどで高い割合でみられるなどの特徴が明らかになった。 研究成果は、英文書籍"Regulations and International Trade: New Sustainability Challenges in East Asia"として出版したほか、学会誌への投稿、これらの成果をもとに経産省、農水省等の関連する省庁のほか、スリランカを含む国内外の講演会・ワークショップでの発表、WTO Public Forumでの発表などを通じて成果普及を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロデータ(RAPEX)利用による分析をもう少し進展させることが可能であるため、現在取り組んでいる。製品環境政策の分析は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
規制に関する情報収集と、データ分析をさらに進め、同時に成果普及も行っていく。
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Causes of Carryover |
科研採択年から2年間、応募時には判明していなかった海外勤務になり、その間の科研費支出を伴う実施が様々な事務的制約で十分にできなかったため、使用額が計画と異なっている。ただし、海外滞在期間は、大きな科研費支出を伴わない方法で、研究活動は実施していた。今年度は、使用できる環境にあるので、出張等含め、実施を進めていきたい。
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Remarks |
Regulations and International Trade出版本でChpater 3の道田(2017), Chapter 6鍋嶋(2017),Chapter 7 道田・鍋嶋・植木(2017)の章が成果となっている。
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Research Products
(7 results)