2016 Fiscal Year Research-status Report
デザイン領域における高等教育で活用するe-プロトタイピング学習教材と学習法の開発
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15K00682
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
蛭田 直 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (80548230)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | デザイン / プロトタイピング / 導電性インク / パターンデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度に続き、e-プロトタイピングツールの開発を行った。しかし、一般市場で容易に電子回路を組み立てることができ、機能や動作に加えて造形をブロックと組み合わせてプロトタイピングができる製品などが販売されたことから、e-プロトタイピングツールの開発を電子回路と造形の関係をよりローレベルで一体的に学習ができるツールの開発へと方向を修正した。 これまでの計画では、立体を構成できる造形ブロックに電子回路を敷設することを目指していたが、導電性インクを使用して印刷により電子回路を作成する方法を検討した。導電性インクを使用する方法は、パターンデザインのグラフィックを導電性インクで描き、パターンの繰り返しを活かした拡張性のある電子回路を学ぶことができる方法である。主に、LEDと組み合わせて照明をデザインすることができる。学習者は、パターンデザインのユニット上に導電性インクでグラフィックを描くが、その時に、グラフィックの質とLEDを光らせるための電子回路を両立させねばならないため、機能と動作と造形が一体化したデザインについて学ぶことができる。 平成28年度は、パターンでデザインと電子回路の作成を補助できる、三角形を基本ユニットとしたパターンデザインメーカーのウェブアプリケーション「トライアングルパターンメーカー」の開発を行いインターネット上に公開した[1]。
[1] 蛭田直,吉川義盛「正三角形のユニットでパターンデザインの制作と学習ができるウェブアプリケーションの開発」,日本デザイン学会,デザイン学研究作品集 22号,印刷中,2017
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般市場の変化にともないe-プロトタイピングツールの開発を見直し方向を修正したため、当初の予定よりも遅れが生じている。トライアングルパターンメーカーは、パターンデザインの学習教材としての検証は行っているが、今後、パターンデザインのLED照明を題材にしてデザインと電子回路についての学習効果を検証する必要がある。 開発を行ったトライアングルパターンメーカーは、PCのウェブブラウザ上で、○、△、□の形を用いてパターンデザインを作成することができ、ユーザはリアルタイムにパターン全体を確認しながらデザイン作業を行える。グラフィックのみのパターンデザインを行えるが、パターンによる繰り返しの電気回路も作成することができる。作成したパターンはSVG形式で保存できベクター系のグラフィックソフトで編集することで、高度なグラフィックを伴った電子回路をパターンデザインとして作成することができる。平成28年度中に、電子回路の例としてLEDを用いたパターンデザインのLED照明を作成として制作を行い、機能と動作と造形が一体化したデザインを実現できることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
学習教材として使用するトライアングルパターンメーカーは、既にインターネット上に公開しているため検証を行う環境は整っているので順次検証を進める。それに合わせて現在不十分であるトライアングルパターンメーカーの使用方法などの資料についても準備する。また、LED照明だけでなく他の用途も合わせて学習教材として可能性を追求する。平成29年度は最終年となるため、これまでの研究についてもまとめの作業を行う。
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Causes of Carryover |
e-プロトタイピングツールの開発を電子回路と造形の関係をよりローレベルで一体的に学習ができるツールの開発へと方向を修正したため、開発において予算の使用額について差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、開発を行った学習用教材を使用して授業やプロジェクトで実践を行い検証と改良を進める。平成29年度請求額と合わせて検証のための消耗品や交通費を中心に使用する。また、学習用教材の改良や資料を用意するためにも使用する。最終年となるため、ウェブサイトの整備を進め、より広く公開できるようにも努める。
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