2015 Fiscal Year Research-status Report
イノベーションのためのアイデア生成・発展を促進する要因の認知科学的検討
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15K00698
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
新垣 紀子 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (40407614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 幸恵 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (00299885)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 創造性 / イノベーション / デザイン / アイデア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、創造的な発想がどのように着想され、コラボレーションの場でどのように発展してイノベーションの実現に結び付くのかに関して検討を進めている。今年度は、クリエイティブな活動をしている人へのインタビュー調査および、創造的なアイデアを生成する際の、「観察による気づきの役割」について検討した。 近年観察による気づきの重要性について議論されているが、気づきがアイデア生成にどのような効果をもたらすかについては十分に検討されていない。本研究では、具体的には、ごく日常的な場面において使用している道具に対して、使用場面を観察することが、新しい道具のデザインにどのように影響するかを実験的に調査した。 実験参加者に対して、道具の使用場面を撮影した動画を観察した場合と観察しない条件で、新しい道具に関するアイデアを生成する実験を行った。実験の結果、実験参加者によって生成されたアイデアを、独創性、実用性、新奇性、実現可能性の軸で実験者が5件法により評価した。実験の結果、生成されたアイデアの項目数は、観察条件の方が非観察条件よりも、多かった。しかしながらアイデアの内容の評価に関しては、独自性は非観察条件の方が高く、実現可能性は、観察条件が高いという結果となった。 本実験により、道具の使用場面の動画を観察をすることにより、観察をしない場合よりも、気づきの数は増えるが、観察によって得られた気づきは、必ずしもアイデアの創造性(今回は独自性)を高めるわけではないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、観察手法の検討と、クリエイティブな活動を行っている人へのインタビューを実施する予定であった。観察については、観察による気づきがアイデア生成やその質にどのような影響を与えるかということを実験的に検討し、成果物の違いを明らかにすることができた。また、クリエイティブな活動をしている人へのインタビューを実施することで、どのように着想を行うかについて分析を進めている。これらのことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、27年度に行ったインタビュー調査を詳細に分析することにより、創造的な発想がどのように着想されるかについての検討を行いつつ、他の事例についても、インタビュー調査を引き続き進める予定である。着想されたアイデアがコラボレーションの場でどのように発展していくのかについて、次の調査の計画を進める。
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Causes of Carryover |
芸術家のインタビュー調査は定期的に行ったが、社会イノベーターのインタビュー調査について、事例を広げる前に内容の分析を進めたため、収集した事例が少なかった。28年度は、幅広くインタビューを進めることにより、事例を増やしていく予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
社会イノベーターの調査事例を増やすことにより、コラボレーションによるアイデア発展プロセスについて分析を進め、結果を学会等で積極的に発表していく予定である。
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