2016 Fiscal Year Research-status Report
リスク社会における「物語を可視化し共有するデザイン」の実践と基礎理論の構築
Project/Area Number |
15K00703
|
Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
宮田 雅子 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 准教授 (20431976)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水内 智英 名古屋芸術大学, デザイン学部, 講師 (70724839)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | デザイン論 / 物語 / コミュニティ / インタビュー調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は「実践・構築研究期間」と位置づけており、本研究における中心的テーマである「〈物語-共有〉型デザイン」の理論を構築するための議論と検討を重ねてきた。具体的には、次のような活動をおこなった。 1.従来のデザインの枠組みとは異なる人文学的・社会学的視座から「〈物語-共有〉型デザイン」を検討するため、さまざまな専門家へのインタビューと対話を重ねてきた。前年度の芸術人類学、社会運動論の専門家へのインタビューに続き、メディア論、死生学、都市論・建築論、哲学・民芸の研究者へのインタビューを行った。これらのインタビューでは、 複雑な社会問題や、強い悲しみ、避けられない自然災害などに直面した場合の対応として、さまざまなものと人との関係性の在り方を見ることができた。それらの知見を、リスク社会における新たなコミュニティづくりに役立て、「〈物語-共有〉型デザイン」の構築に役立てることができる。 2.上記1のインタビューの内容をまとめ、ウェブサイトを制作した。これにより、本研究において検討している新しいデザインの方法論を広く一般に公開し、議論の幅を広げていくことができると考えている。 3.一方で、平成28年度に予定していた実践活動は実施を見送った。その理由は、実践に適したフィールドをうまく確保できなかったことと、上記のインタビューが順調に進んでおり、他分野の専門家との対話を重ねることをとおしてデザイン理論へのフィードバックを期待できるのではないかと考えたためである。 4.翌年度に向けて、本研究課題の成果を引き続き国内外の学会で発表するための準備を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.リスク社会において直面する「解決できないこと」に向き合うための新たなデザイン理論の構築のため、他の研究分野の専門家との対話を重ねてきたことで、これまで地域コミュニティや生活者の習慣の中に埋め込まれてきたさまざまなリスクへの対処方法を、「ものが語る」「ものを語る」というふたつの類型にまとめた。これを引き続き、「〈物語-共有〉型デザイン」の理論の構築へと展開させていく予定であり、その点では計画どおりに研究を進めることができている。 2.これまでの成果を、ウェブサイトにまとめ、公開した。 3.「〈物語-共有〉型デザイン」に基づいた実践と有効性の検証については、前年度に引き続き、遅れ気味である。小規模な実践に計画を切り替えるなどの対応を図り、平成29年度に何らかの実践を実施できるよう検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.これまでに実施したデザイン以外の専門家へのインタビューについて、まだウェブサイトで公開できていない分があるので、それらの編集作業等を引き続き行い、公開する予定である。またインタビューで得られた知見をもとに、「〈物語-共有〉型デザイン」の理論構築のための検討を重ねていく。 2.「〈物語-共有〉型デザイン」に基づいた実践活動については、計画を立て直し、小規模なものに変更して実施を目指す。 3.最終年度に向けて成果を取りまとめ、積極的に国内外の学会やセミナーでの発表をおこなう。
|
Causes of Carryover |
平成27年度に海外でのインタビュー調査を行う可能性を見込んだ計画を立てていたが、国内でのインタビュー調査の結果、国内の事例をより深く調査することの方が本研究が目指す成果に結びつくと考えるに足り、おもにその分の金額が平成29年度まで持ち越されている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に、国内外での学会・セミナー等での発表を行うための旅費として使用する。
|