2015 Fiscal Year Research-status Report
「米」の高次機能利用をめざした新規作出米の物性制御と味覚応答評価法の構築
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15K00796
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
阿久澤 さゆり 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (60256641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 文代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (00282905)
花城 勲 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (30336325)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 米澱粉 / 変異体 / 湿熱処理 / 凝集体 / 溶出糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、食素材の「改良」とともに、食素材の構造とレオロジー、食品としての味の知覚強度の相互関係を明らかにすることを目的とし、3年間の研究期間における研究項目を3項目設定した。まず、第1項目の新規米の作出・栽培については、すでに毎年、安定的に収穫が行われ、試料米は充分な量が確保されている。それら米粒の顕微鏡観察および炊飯特性の検討が終了し、変異体米は炊飯特性がまったく異なることが示され、炊飯米の破断特性では、もろく付着性の少ない米粒であった。分離澱粉の構造解析および糊液のレオロジー解析では、アミロペクチンの鎖長分布は、変異体米澱粉は短鎖が増加していたが、湿熱処理はほとんど変化が見られなかった。一方、水溶媒における慣性半径は、日本晴米澱粉>変異体米澱粉>湿熱処理米澱粉であり、レオロジー特性を反映していると考えられたが、DMSOを分散媒とした溶質の分布状態では、湿熱処理米澱粉は複数のピークが出現し、凝集体の形成が推測された。これらの結果を学会にてポスター発表を行い、論文の投稿準備を進めた。また、第2項目の澱粉糊液と味物質の相互関係について、高濃度ゲルを調製し、味物質の溶出量の測定法の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するために3項目からなる研究項目を設定したが、1年経過した時点で、第2項目の実験検討に着手している。今後、実験を勧め、さらに共同研究者とのデータや研究方針のディスカッションを行うことで、目的達成に向かって研究成果を報告できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、澱粉糊液の粘弾性および澱粉糊液中の分散質の状態とその構造解析を行う。さらに、分散質の水中での味物質との相互作用の検討を進めることで、破壊(咀嚼)過程および、非破壊過程(飲み込み)における口腔内への味物質の移動(溶出)の測定につなげる実験を行う。また、本研究課題の目的に向かい、ヒトによる官能評価および味蕾細胞の応答反応測定により、相補的に組み合わせた味覚応答評価系の構築を目指したい。
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Causes of Carryover |
国際学会(2015年10月18日~21日、ミネアポリス、ミネソタ州、米国)への参加を計画していたが、参加しなかったため旅費および参加費の経費が未使用となった。また、実験器具試薬の購入のために計上していた消耗品について、実験の繰り返し回数が減ったことで使用額が減ったため計上した経費との差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は計画2年目であり、ヒトの感覚による評価の繰り返しや、味蕾細胞の応答反応など新しい実験を組むため、その実行のための経費とし、また、論文の準備が出来次第投稿し、論文投稿費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)