2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K00838
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
曽根 保子 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 講師 (80452027)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ビタミンC / 小胞体 / レドックス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内外に異常なタンパク質の蓄積が起こると、生体内で小胞体ストレス応答が誘導される。しかし、小胞体ストレス応答により対応できないストレスが負荷されると、タンパク質の正しい立体構造を形成する機構が破綻し、糖尿病、パーキンソン病などの神経変性疾患、心臓疾患、アテローム性動脈硬化等の発症や進展をもたらすことが知られている。タンパク質の正しい立体構造の構築には、小胞体内外におけるレドックス環境が非常に重要であり、タンパク質の立体構成に有利なレドックス環境が厳密に制御されている。 他方、ビタミンCは、生体内で種々のレドックス反応に密接に関与しているが、タンパク質の立体構造の調節機構や小胞体ストレス応答時におけるビタミンCの影響は十分に明らかとなっていない。 そこで、平成28年度は疾患の予防的観点から、小胞体ストレス応答時におけるビタミンCの影響について検討するため、予め細胞内にビタミンを一定量取り込ませたヒト肝がん由来細胞であるHepG2に対し、小胞体ストレスを人為的に惹起させ、小胞体ストレス応答因子の遺伝子発現をRT-PCR法を用いて解析した。また、併せて、細胞内のビタミンC量を評価した。 その結果、ビタミンCをほとんど含まない細胞では、小胞体ストレス応答因子の遺伝子発現が高まったのに対し、ビタミンCを取り込ませた細胞では小胞体ストレス応答因子の遺伝子発現が抑制される傾向が認められた。今後は、自然に生じる小胞体ストレス状況下において、これらの結果が同様に起きるのかについて検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、ヒト肝がん由来細胞での小胞体ストレス因子の遺伝子発現に着目したが、小胞体ストレスの誘導方法によりビタミンCの影響も異なることから、それらの再現性の確認に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、小胞体ストレスを人為的に起こす代表的な試薬としてジチオトレイトールを用いているが、ジチオトレイトールはビタミンCと同様に、生体内で還元剤としてはたらくことから、小胞体ストレスを生じた際のビタミンCの影響を正確に評価できない可能性がある。したがって、他の方法によって誘導された小胞体ストレスに対するビタミンCの影響を改めて評価する予定である。また、小胞体ストレス因子は小胞体内腔のレドックス環境により、局在が変わることから、小胞体ストレス因子の細胞内局在などを評価することが必要である。
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Research Products
(1 results)