2015 Fiscal Year Research-status Report
健康を創出する生きいき食教育プログラム評価指標の開発
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15K00871
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加藤 佳子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (30435052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 亜未 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 助手 (00738362)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食教育 / 食行動 / 動機づけ / well-being / 健康生成モデル / ソーシャルサポート / メタボリックシンドローム / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
不健康な食生活は,肥満やメタボリックシンドローム(MetS)などの身体的健康問題の原因となるとともに,精神的,社会的健康にも影響する。また,ここ30年の間に健康をとらえる概念は疾病生成モデルから健康生成モデルへと大きく進展している。健康生成モデルとは,人は健康を生成する資源を持っており,この資源を活用し積極的に健康を獲得しようとするモデルである。人が医療に過剰に頼ることなく,自律的に健康を維持するためには極めて有効な概念であり,我が国においても健康生成要因の強化が推進されている。 またこれまでも,行動理論に基づいた食教育プログラムの開発が行われ,その有効性が報告されているが,食教育プログラムを実施する際は,受講者,指導者とこれらを取り巻く環境の独自性を考慮する必要がある。これらの独自性に対応した効果的な食教育プログラムを展開するためには,プログラムが共通して備えることが望ましい指標を明らかにする必要がある。本研究の目的は,生活習慣や健康と密接な関連のある健康生成要因を強化・支援することに焦点をあてた食教育プログラムの標準化をめざし,食教育プログラム評価指標を開発することである。 これをふまえ調査を行い,行動変容ステージ別に動機づけ,Sense of Coherense,ソーシャルサポートなどの特徴を見出した。また,これらの要因とMetSやWell-beingとの関連性,動機づけに影響する要因についても一定の知見を得ることができた。超少子高齢化社会を持続可能とすることが経済的にも国家の急務の課題である日本において,個人の持つ健康生成要因について明らかにし,これを有効に活用するための食教育プログラム標準化の評価指標を作成することは,他の健康行動研究にも重要な情報を提供することとなり自律的な健康寿命の延伸につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学生以上を対象とした調査については一定の知見を得ることができ,その結果の一部を複数の学会で発表するととも,論文としても結果を発表することができた。また,見出された評価指標項目に基づいて特定保健指導の指導者を対象とした講習会を行う計画も進んでいる。 中学生から高校生については,当初の計画より若干の遅れはあるものの研究対象校からの協力を得て順調にデータの収集が進んでいる。そして実践研究に参加する指導者との研修会も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,調査を完成し健康生成資源を活用した食教育プログラム評価指標に関するモデルの構築を進め,具体的な評価指標の項目を確定する。評価指標項目を踏まえ,指導者用のためのテキストを作成し,健康生成資源を活用した食教育プログラムに対する指導者の理解を深めためのワークショップを行う。さらに,調査結果から特に注目すべきライフステージを選定し,具体的な食教育プログラムの指導案,受講者用教材等を作成し食教育プログラムを開発する。 平成29,30年度は,開発した食教育プログラムを実施するとともに,食教育プログラム評価指標の妥当性について検討する。
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Causes of Carryover |
パーソナルコンピューター(PC)を神戸大学と滋賀県立大学それぞれ1台ずつ,合計2台を購入する予定であったが,滋賀県立大学では,研究分担者所有のPCを使用した。また,27年度の調査は神戸大学および滋賀県立大学の近辺で行ったため,調査旅費を抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
食行動をより詳細に検討するために,実際の栄養摂取状況をみる必要性が明らかとなった。そこで,そのための調査費用とする計画である。
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Research Products
(11 results)