2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00908
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
邑本 俊亮 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (80212257)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 防災教育 / 授業開発 / アクティブラーニング / 生きる力 / 学習観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大学教育における新たな教養科目としての「災害科学」を、広範な災害科学関連領域の教員の授業をベースにしながら、教員と学生の双方の視点から、一般社会で役立つ知識となるような授業を開発・構築しようとするものである。前年度より、被災地訪問による課題発見・解決型のアクティブラーニング型のゼミの実践と教育効果の検証を中心に研究を展開している。 今年度は、受講学生12名(男子8名、女子4名)を対象として、ゼミの開始前と終了後に、Sugiura et al.(2015)による災害を生き抜くために必要な8つの生きる力を測定するための質問紙による調査を実施した。なお、比較のために、他のゼミ(災害とは無関係のテーマで、グループワークを中心とするゼミ)の履修者14名に対しても、同時期に調査を行った。その結果、ゼミの種類に関係なく、学生たちの生きる力のうち、「問題に対応する力」「人を思いやる力」「人生を意味づける力」が有意に上昇し、「信念を貫く力」と「気持ちを整える力」が上昇する傾向が見られた。アクティブラーニングの効果がこうした変化に表れているものと推察される。 また、前年度と今年度の当該ゼミを履修した学生の最終レポートを、学生の学習観の変化という観点で質的に検討したところ、学生がゼミによって新たな気づきや学習観を獲得していることが浮かび上がった。たとえば、主体的・能動的な学びや他者と共同することの意義、物事を多角的な視点で見ることの重要性、現場に行って体験することの重要性などが比較的多く言及され、机上での個人学習とは異なる学びの視点を得ているようである。また、震災や教訓を他地域や次の世代へ伝えることの必要性や決意を述べた意見も多く、「社会全体での学習」にまで目が向けられていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「災害の科学」の授業参観データの分析が遅れているが、その反面、アクティブラーニング型の授業実践と教育効果検証が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
アクティブラーニング型の授業実践と教育効果検証をさらに進める。当該授業実践へ授業参観から得られた知見をどのように導入できるか検討を行う。
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Causes of Carryover |
授業参観データの文字起こし作業が遅れているため。謝金業務としてではなく、業者への発注を検討する。
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