2016 Fiscal Year Research-status Report
森林生態系に関する視覚情報教材「全天トレイル」の開発
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15K00956
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 良治 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (40515102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70281798)
湯浅 万紀子 北海道大学, 総合博物館, 教授 (60182664)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 博物館映像学 / 映像教材 / 生物地球化学 / 森林生態系 / 科学コミュニケーション / インターネット / 映像制作 / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
開発中の視覚情報教材「全天トレイル」は、いつでも、誰でも、どこでも学ぶことができるように森林内の物質循環につて詳しく学ぶことができるようにインターネットを介して公開している。森林における樹木の情報や調査観測データへのリンク機能を取り入れ、全方位カメラで森林内を撮影した映像は、学習者の操作により任意の角度から見ることができる。この視覚情報教材「全天トレイル」を学部生向けの一般教育演習 森林生態系の物質循環研究法にて「全天トレイル」を活用し、受講生に対して学習効果のアンケート調査を行った。この結果、授業を受講する前に「全天トレイル」を使用した受講生は38%(n=21)であった。授業終了後に復習で活用した学生は、57%(n=21)となり予習よりも復習で「全天トレイル」を活用している傾向が伺えた。授業中には、教員がプロジェクターへ「全天トレイル」を投影して解説を行ったところ95%(n=21)が授業の内容へ興味を示しており、88%(n=21)の受講生は理解が深まったと回答している。授業以外でも全天トレイルを活用してみたいかという質問には、76%(n=21)が使用したいと答え、81%(n=21)が実際に現地の森林へ行ってみたいと答えた。このように、「全天トレイル」が受講生の興味関心を高めていることが解った。今後は、操作性を高めつつ、画像の高画質化する必要があることを認識しており、今後はインターネットでの視聴に堪えうる解像度での公開方法を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
〈視覚情報教材の制作〉 撮影拠点を増やし全方位カメラでの撮影を行った。観測地点の違いや季節変化など比較して学習者が学べるように同一地点での撮影を継続して行った。前年度に引き続き、専門家へ森林生態系の解説や試料のサンプリング方法の解説をしてもらい、1~2分間程度の短い映像クリップに編集した。取材した内容は、音声をテキストデータに書き起こし、日本語及び英語字幕への対応を行った。関連する学術論文へのリンクを追加も引き続き行い、専門用語は内容を確認し解説を付記した。 〈全天トレイルの評価〉 全天トレイルの学習効果は研究分担者を交えて、「学習到達度」、「関心・意欲の変容度」、「ユーザビリティ」の観点で評価した。「全天トレイル」を活用した授業一般教育演習 森林生態系の物質循環研究法で、学生や研究者を対象に評価指標にもとづいた検証・評価を行った。評価は、アンケート形式で行い21人の受講生から回答を得た。この結果、授業前に「全天トレイル」を活用した受講生は38%であった。授業終了後に復習で活用した学生は、57%となり予習よりも復習で「全天トレイル」を活用している傾向が伺えた。教員がプロジェクターへ「全天トレイル」を投影して解説を行ったところ95%が授業の内容へ興味を示しており、88%の受講生は理解が深まったと回答している。授業中に視覚情報教材「全天トレイル」を活用して授業を行うことの効果が示されている。授業以外でも全天トレイルを活用してみたいかという質問には、76%が使用したいと答え、81%が現地の森林へ実際に行ってみたいと答えた。
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Strategy for Future Research Activity |
〈視覚情報教材の制作〉 評価指標にもとづいた学習効果の検証・評価を受けて、新たに得られた情報と共に既存の「全天トレイル」を繰り返し改訂する。平成27年度に行った「全天トレイル」の評価を受け、前年度に引き続き、各要素へ情報の追加修正などを行う。360度カメラによる森林内撮影では、前年度に撮影できなかった場所や季節を撮影する。森林生態系専門家への映像取材も継続して行い、資料のサンプリング方法や森林環境に関する解説映像教材を制作する。検証・評価を受けて、開発中のデータビジュアライゼーションを実装できるように改訂する。新たに発表された学術論文へのリンクも継続して行い、情報を更新する。全天トレイル全体の英語化対応も継続して行う。 森林内で1世紀以上継続して採取している積雪量、水質、気象、樹木のデータを全天トレイルの画面上で可視化するデータビジュアライゼーションの実装については、蓄積されたデータを季節・年代ごとに比較し、「全天トレイル」へコンピューターグラフィクス機能でデータ変化の度合いが可視化できるように引き続き検討を重ねている。
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Causes of Carryover |
視覚情報教材制作のためにウェブサイトの構築を予定していたが、仕様を満たすことのできる発注先がなかったため次年度へ使用額を繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
視覚情報教材「全天トレイル」においてビックデータを可視化できるシステム系制作会社を選定し、次年度にシステム構築を依頼する。
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