2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K00969
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤林 紀枝 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (20238603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 香子 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (00378548)
高清水 康博 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (10446370)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地学教育 / 火山活動 / 背弧海盆 / 海底火山 / 海底溶岩流 / ピクライト |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は,「小木半島の古海底火山に見る火山活動」の学習内容の作成を行うため,26-27年度に行った地層の観察・調査結果を取りまとめ,小木玄武岩の中に火口から離れて斜面を流れ下った'jumbled sheet flow'が存在することを明らかにした。これは東太平洋中央海嶺で観測されてた溶岩流の一形態と同じである。粘性の低い海底溶岩流が斜面を比較的速い速度で流れる場合に,表面が破砕した溶岩流が形成されると考えられる。また,破砕メカニズムとして,溶岩流の表面が海水によって早く冷却固結しても,内部を熱い溶岩が前進する場合,皮殻は容易に変形し破砕することを示唆した。さらに,このような溶岩流の先端部はピローローブを下位側に向かって供給し,それを覆うように溶岩流が前進する過程も示した。これらの研究成果をAGU Chapman Conference 「Submarine Volcanism: New Approaches and Research Frontiers」で発表した。また,これらの研究成果の意義を現世の中央海嶺の火山活動をレビューした上で説明した解説論文を作成し,地学研究会誌第49号に公表した。 また小木玄武岩中の「ピクライト」については,27年度に行った研究により,含まれるかんらん石結晶に数cm大の巨晶があること,それらを含めて粗粒なかんらん石結晶(数mm~7mm大及び数cm大)が玄武岩中のかんらん石斑晶よりCaOに乏しいことがわかっている。親マグマとして中間的なCaO量の高マグネシウム安山岩に似たマグマが考えられる。これは,背弧海盆のピクライト質マグマの成因に関する新たな知見である。この知見を基に,小木玄武岩の火山活動史におけるピクライト形成の概念図を作成した。また地質学的内容を,Goldschmidt2016と日本地質学会第129年学術大会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度当初計画では,活動的な玄武岩質火山の代表であるはハワイ島キラウエア火山の調査と写真資料の採取を行う予定であったが,別の「古」海底火山の例として,オーストラリア・タスマニア島北西部に露出する約24Maのホットスポット海底火山の地層観察に計画を変更した。これは,アメリカ地球物理学連合(AGU)のChapman Conferenceに合わせて企画されたフィールドトリップに参加するもので,水中火山学の代表的研究者の一人であるJ. McPhie(タスマニア大学)の説明を受けながら露頭を観察することができた。また,このChapman Conference自体も「Submarine Volcanism: New Approaches and Research Frontiers」というテーマで開催されたもので,現世の海洋底観測から,中央海嶺,背弧海盆の海底火山の活動についての最新の情報が提供される会議であった。そのため,計画を変更した。参加した結果,現世の海洋底火山活動についての情報集を行うことができ,またフィールドトリップにより,ホットスポットの海底火山活動で形成された厚い溶岩流と小木玄武岩のような背弧海盆の薄い溶岩流との差異を明確に認識することができた。そのため次年度は,この違いを示す教材の作成を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度,タスマニア北西部に露出した約24Maのホットスポット海底火山で形成された溶岩流の厚さや形態を観察することができた。またその写真資料を採取してきた。今年度は研究の最終年度であることから,背弧海盆で起きる海底火山活動(例:小木玄武岩)とホットスポット(例:タスマニア北西部の)や中央海嶺で起きる海底火山活動の類似点と相違点を明確に示した教材作成を目指す。そのため,佐渡島小木半島に露出する枕状溶岩を再度調査し,厚さ,広がり,構成する枕の形態と大きさの時空変化をマッピングする。また火山活動と同時期の断層系を特定し,背弧海盆の火山活動が起きる場の地形発達との関連も調べる。これらを基にホットスポットや中央海嶺の溶岩流との相違点を示す教材を作成する。
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Causes of Carryover |
予定していた海外調査をハワイ島からオーストラリアタスマニア島に変更し,また現地での人夫雇用を取りやめたことから,約14万円の残額が生じた。また,西日本の海域で形成された単成火山の調査研究が十分できなかったことから,約30万円の旅費が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
佐渡島小木半島の溶岩形態の空間的変化のマッピング,及び同時期に形成された断層系の調査を行うため,学生等を延べ12名雇用する。そのため,雇用学生を含む全体の調査旅費として約40万円を使用する予定である。また,ピクライトとの比較に西日本の高マグネシウム安山岩を採取するため,旅費を15万円使用する。また,地質学会(愛媛)出席のための旅費を約27万円使用する。その他,教材作成用のパーソナルコンピューターを1台購入し教材作成に必要なソフトウェアをインストールするため合計で約21万円を使用し,また教材作成のための学生雇用謝金として5万円を使用する計画である。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Rhyolite magma intrusion into subaqueous unconsolidated sediments: Facies, structures and formation processes.2017
Author(s)
Takahashi, T., Kataoka, K.S., Nagahashi, Y., and Yoshida, T.
Organizer
American Geophysical Union Chapman Coference, Submarine Volcanism: New Approaches and Research Frontiers
Place of Presentation
Hobart, Tasmania
Year and Date
2017-01-29 – 2017-02-03
Int'l Joint Research
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