2015 Fiscal Year Research-status Report
学習意欲を高める方策と学習成果を高める方策を統合的に設計するIDツールの作成
Project/Area Number |
15K01044
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中嶌 康二 熊本大学, 社会文化科学研究科, 特任准教授 (10565823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 知博 大阪学院大学, 情報学部, 准教授 (00283820)
中野 裕司 熊本大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40198164)
鈴木 克明 熊本大学, 社会文化科学研究科, 教授 (90206467)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学習成果と学習意欲 / 授業改善 / 支援方策を統合するデザイン / 教員の動機づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、「学習意欲のためのデザイン」と「学習正解のためのデザイン」を統合するための予備調査と、これを支援するデザイン統合ツール(統合支援ツール)の設計を並行して実施した。 予備調査は、大学における正課の授業科目において授業改善を試みるという場面を用意し、試作した統合支援ツールに基づき、科目担当の大学教員とインストラクショナルデザイン(ID)研究者が対話する形で授業改善を検討、設計、実施し、評価していく手順を取った。このことにより、IDに基づくデザイン統合支援ツールを運用するに当たって、ツールを利用する教員がどのような障壁に当たり、実践においてどのような課題を抱えるかを推察できた。IDを授業改善に適用する際、IDを熟知していない教員においては、特に、学習成果と学習意欲を統合して捉えようとする本研究の場合、自分自身で諸モデルの主旨を理解することが負担となり、障壁となるため、チェック方式を取り入れて、分析や設計の手順を導くなど、導線を設計に導入する必要がある。ただし、設計上の工夫のために制約過多となった場合、授業改善検討の自由度を奪い、これが障壁となる可能性がある。このため、授業改善における大学教員の動機づけという観点に留意しておく必要がある、と確認された。他方、別の科目にて、学習者にARCS-V動機づけモデルを適用して意欲の変化を測る、学習意欲に関する方策実践の試行も行い、実践上の課題を確認した。また、IDを活用した授業設計の先行研究に関して、課題分析やシラバス作成の観点で調査、考察を行い、日本教育工学会全国大会等で発表した。上述の予備調査に関する実施報告は平成28年度の研究会にて発表予定である。 平成27年度は、実践での調査を通して、統合支援ツールの利用対象となる大学教員のユーザビリティを高める追加改善を施し、ツールの有効性向上を図れた点が意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備調査の結果により、ツールの設計に改善が必要となったため、開発(Web版作成)やその形成的評価の手順が先送りになっている。ただし、設計そのものは他の媒体(MS-Wordや紙媒体)でも進められており、計画の調整で補正できる範囲内と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、WEB版開発を行いつつ、設計の評価改善を繰り返す。また、統合支援ツールを活用して、平成27年度の予備調査と同様の実践現場での検証を行う。これらの作業により、平成29年度のツール公開の準備を進められるものと考える。
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Causes of Carryover |
予定していた学会等発表が次年度に先送りとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究会等での発表などに係る旅費・参加費に充てる。
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