2016 Fiscal Year Research-status Report
グローバルな算数・数学教員養成を目指す遠隔協同セミナーの研究
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15K01063
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
河崎 哲嗣 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00582488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥林 泰一郎 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (60580941)
齊藤 和彦 大和大学, 教育学部, 准教授 (60738524)
前迫 孝憲 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00114893)
柳本 哲 京都教育大学, 教育学部, 教授 (90441401)
松嵜 昭雄 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10533292)
山田 道夫 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (90166736)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際遠隔協働セミナー / 数学的モデリング / 教育のグローバル化 / フェルミ推定 / 問題解決学習 / 教員養成・教員研修 / 学生交流 / STEAM教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
①平成28年8月20日「ひらめき★ときめきサイエンス(小学生)」,平成28年12月3日「大垣市わくわく算数アドベンチャー(小学生)」,平成29年2月12日「日本数学的モデリングチャレンジ(中高生対象)」において,数学的モデリングの教材を開発し,特にFermi推定を用いた概数・概形に関する学習活動について,活動行程の様子と解決レベルの到達度のルーブリックを同時に可視化する評価も開発した。これらを「思考力・判断力・表現力」の概要評価とすることにした。細部までの評価については、次の段階の研究が必要となった。 ②平成28年7月に共同研究の相手であるドイツ・カールスルーエ教育大学と岐阜大学教育学部との教員養成課程科目の授業において,学習者と授業者(遠隔地)との効果的な遠隔協同学習の形態について,新しいセミナー方式について構想を作り上げ,次年度の教育実践への礎とした。 ③昨年度に国際セミナーの実施は達成されているのが,さらにバーデン・ヴュルテンベルク州のレアルシューレ校を訪問し,問題解決学習の一つであるFermi推定教材の先行的な授業を見学した。そこで現地教員達と内容・方法・評価について議論を行い,有効な教育方法の知見を得た。 ④2大学間及び学校教員との教育環境が整い始め,クラウド型グローバルスタンダード高機能Web会議の運用を活発化し,頻繁に教育実践における研究協議や打合せが達成可能となった。 ⑤日独伯3国(カールスルーエ教育大学・ルーテル大学)の教員養成系大学の学生の環境教育に対する意識調査の比較研究の成果から,地域や教育に対する学生の意識改革に向けての教育プログラムの必要性に着目した。さらに統解析の高度化とこれからの教員研修の在り方を考える上で,学業やキャリア教育に影響を及ぼす外的要因の比較,教育制度と教員研修の比較について調査・分析を進める調整を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際遠隔協働セミナーを実施する環境・施設が両大学に最低限整い,数多くの打合せが達成できるようになった。その教育内容としてFermi推定による概数・概形を取り上げ,算数・数学以外の分野を盛り込んだ教材作成を行った上で、この学習活動の様子と解決レベルの到達度のルーブリックを同時に可視化できるシステムを開発した。人工知能で処理可能な評価の一つとなるであろうと考えている。さらに尚一層の評価システムの整理をしなければならないが、これらの評価規準を用いて、国内の小学校5,6年生対象の教育実践を行い、どのような活動が解決結果に有効に結びつくかの分析を行い,教材と評価が一体となる教育方法に結びつけた。さらに子どもの量認識の獲得を目指すSTEAM教育として,「速さ」の概念と子どもの直感を結びつける活動を取り上げ,グローバル教員養成に向けての次なる国際遠隔協働学習の教材になるような共同研究の基盤作りを始めた。また数学的モデリングの教育研究と日独伯3国(カールスルーエ教育大学・ルーテル大学)の学生の環境教育に対する意識調査の比較研究の成果をICME13(ハンブルク)において発表した。さらに統計分野と教員研修のチームを作り、従来の意識調査に加えながら、教員を目指す学生達の資質向上に影響を及ぼす外的要因と教師自身が志す未来像についての議論・分析を考えることにした。クラウド型グローバルスタンダード高機能web会議Zoomを用いて,2国間における国際遠隔協働セミナーの新方式を考案し実践しようとしたが、事前準備の議論不足となり繰り越し実施とした。
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Strategy for Future Research Activity |
日独間の教育機関の共同研究へと深化し始めており,カールスルーエ教育大学には,統計アナライザーが1人加わったのに対して,次年度から日本側にも研究協力者を加えた。さらに,算数・数学教員を志す学生への有効な教育や広く学校現場の実態とニーズを把握するために、管理職経験のある教員を研究協力者に迎えることにした。そこからは国際遠隔協働セミナーを一つの大学授業ツールに定着させることを目的として,京都府総合教育センター等に「未来の教師像」「グローバルな教員の研修」としての支援を依頼して,調査内容を学生から小学校~高等学校教員対象にも広げることを目指す。また研究代表者は,グローバルな教員養成の重要性を説くために,研修センターの講師として着任をする。研究協力者は,教育センターの研究職員とともにバーデン=ヴュルテンベルク州とバイエルン州の教員研修の仕組みと国内(特に京都府)の教員研修や育成制度の比較調査の実現に推進する。そのためにバーデン=ヴュルテンベルク州の教員研修センターへの訪問やカールスルーエ教育大学から研究者を招へいし,学校教員や大学同士との研究協議や交流へと実現し,提言に結びつけるように行いたい。 2国間の学生交流として数々の事業を運用しなければ,グローバルな教員養成の礎ができないと考え,大学院生の中期派遣や学部生の短期留学の制度を今年度設立する計画であり,これを利用して,さらなる長期の継続研究に結びつけることを目指すこととした。 またグローカル教育を進める必要性から,昨年来から遂行している東南アジア地域にも研究の幅を広げたいという希望を持つ学校教員を海外研修に派遣し,その研究成果を活かすために日独伯の研究に加えて,新たな視点を加味できないかを検討し,次の研究課題とする方向である。
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Causes of Carryover |
研究協力者達の海外研修・実地調査のために準備した旅費について,校務の都合と訪問日程において,受け入れ機関との調整が捗らなかった。研究分担者の学位論文の研究に重点が係り、最終年度に集大成の整理を行う旨の報告を受けている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これからの教員研修の在り方や教員の未来像に関する研究について,研究協力者がバーデン=ヴュルテンベルク州の教員研修センターと学校訪問,学会での発表を計画している。また開発教材と評価を国際遠隔セミナーで実際に運用し始めるために,相手国との関係者と綿密な打合せが必要となった。研究者招へいを行い,国際遠隔協働セミナーの有用性とグローバルな教員養成の世界的な動向について情報共有も兼ねた学校教員と学生との交流の場を設ける計画である。 限られたセンサー機器を緊急避難的にレンタルして,STEAM教育の基礎的実践を繰り返してきた。しかし数学的モデリングチャレンジなどの普及・浸透が順調になり,種々のセンサー機器を数買い揃えることによって,教育実践の場を広げる挑戦ができるようになってきた。従って実際の学校現場にも採り入れる国際遠隔協働セミナーへの教材開発を計画している。 研究成果報告書の冊子作成も視野に入れている。
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Remarks |
(1)~(3)は,実践研究の様子を公開している。 (5)は,2015年度の内容である。
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Research Products
(17 results)