2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K01093
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
秋元 貴美子 日本大学, 芸術学部, 教授 (50328770)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生徒の段階別教育 / 高大接続 / 顧問教諭の情熱 / 高校別調査 / 県レベル活動調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
高校教育課程に取り入れられた「写真」教育の現状調査として、埼玉県立芸術総合高等学校映像芸術科での2年生の授業「写真1」を調査した。写真専攻では、カメラの扱い、写真の技術的な調整方法、展示方法など写真への理解度を高めることを段階をおって行っている。2年生で学んだことを通して3年生で制作する卒業制作作品を決めるのだが、これは大学で学ぶ写真へもつながる。この高校から写真を学ぶ大学へ進学する生徒もいるのだが、うまくつなげられれば「高大接続」へ向けての一歩となる。ここでの年間カリキュラムは、生徒の興味、技術的向上、表現への意識深化などの過程を巧く捉えていて興味深い。本研究のガイドラインを考案する上で非常に重要な意義を持っていると考えられる。 一方、写真部活動で積極的に活動している高校の「写真のまなび実践」の調査として、大きな写真の大会である全国高等学校総合文化祭、写真甲子園、高校生写真サミットでフィールドワーク調査し、高校生たちの作品から最近の活動傾向や表現指向について調査した。これによって、高校生の写真的興味の具合、全国のどういった学校で活動が盛んなのかが見えてきた。県として写真部間の強い絆と活動力をもつところもあり、そうした所は全県単位で調査すべきという方向性も見つけられた。中でも新潟県は特筆すべきものがあり、県展にみるレベルの高さには目をみはるものがある。長年の顧問教諭の努力を現地で聞き取り調査を行ったが、一校だけではなく県をあげての活動に教育意図が込められているようであった。さらに調査を深めたい。 また、写真部強豪校である沖縄県立浦添工業高校での調査では、顧問教諭の指導方法や生徒との関係性など聞き取り調査を行い、さらに生徒からも作品制作についての活動や写真への思いなどを聞きとり調査した。これらからガイドラインに必要なポイントでもある写真部活動に重要な教諭の情熱が見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象となる高校を調査取材するにあたり、先方の活動をしっかり調査するにはやはり長期休暇などではなく平常時であり、そのためには本務である大学での授業を休講にせねばならず、補講日数の確保など困難を極めたため昨年度は高校別調査が不足している。長期休暇中に開催日がある全国高等学校総合文化祭、写真甲子園、高校生写真サミットなどの大きな大会での調査は実行できているので、本年度も継続する。 また、強豪高校の顧問教諭への聞き取り調査は土日を利用して少しずつおこなっているが、本年度の校務状況からは昨年度のようにできるか不安である。しかしながら、できるだけ微細な時間をみつけて実行し、ガイドラインに必要な教育意図、目標等の参考意見を聞き取り調査していきたい。 また、以前より危惧していた、顧問教諭の転勤にともないその学校の写真部が隆盛衰微することがここ2,3年で顕著になってきた。そのため過去に強豪校であった高校が衰退し、新たな学校が進出してくるといった写真部強豪の全国分布図が変化してきている。そのため研究計画段階で対象としていた調査対象高校にも変更が出てきそうである。そうした動向調査も併せて行わなくてはならない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象高校が顧問教諭の転勤にともないその学校の写真部が隆盛衰微してしまうことは仕方がない。そうした状況をまとめたものはないので、たとえばコンテスト等で、どこの学校が急激に進出してきたか、あるいは衰退したかなど過去にさかのぼって調査する必要がありそうである。雑誌CAPAなどから追跡調査する。 また、高校を個別に当たるほかに、県大会などで顧問教諭が集合する場での聞き取り調査や生徒向けのアンケートも制作し調査に役立てたい。 さらに、埼玉県立芸術総合高校での写真専攻でのカリキュラムに何をプラスしていけるかを研究協力員と精査し、来年度に実施してガイドラインの指針にできるような方向性を得ることを目指す。
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Causes of Carryover |
対象となる高校を調査取材するにあたり、先方の活動をしっかり調査するにはやはり長期休暇などではなく平常時であり、そのためには本務である大学での授業を休講にせねばならず、補講日数の確保など困難を極めたため昨年度は高校別調査が不足している。そのため、当初予定していた旅費がかからなかったため、次年度使用額が生じた。 また、調査用の機材購入を精査し決定、購入する時間がなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査用機材等の購入を急ぎ、より効率的な研究が行えるようにする。また、メール等の活用で調査対象高校との連絡を密にとり、あるいは書面でのアンケート調査等も取り入れることで調査期間の短縮を図り、業務とのバランスをとり、エフォートのパーセンテージを確保する。
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Research Products
(1 results)