2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K01236
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 賢 日本大学, 理工学部, 教授 (00387747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋野 公宏 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30391600)
村井 裕樹 日本福祉大学, 健康科学部, 准教授 (30455563)
田中 尚樹 日本福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (70738400) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発達障害 / 健常児 / 安全・安心 / 事故 / 家庭内事故 / 自然災害 / 犯罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
相模原障害者施設襲撃事件(平成28年7月)をうけて社会福祉施設等では防犯安全確保策が求められる方向性が明らかとなりつつあった。本研究においても、これを加味した内容を検討に取り組み調査項目の再検討を行った。その過程で社会福祉士や発達障害児・者支援団体と調査内容を検討した。とくに発達障害児・者は犯罪被害者になるケースだけでなく、自ら意図せず加害者となる可能性も否定できないので、繊細な問題であることが指摘された。 本研究者らは、行政・自治体・市民に対し「子どもの安全・安心」に関する啓蒙普及活動として講演会を行うことが多く、本研究結果を活かして講演内でダイバーシティ(社会の多様性)を考慮し発達障害児の安全確保策が重要である旨を必ず述べている。その講演会後の担当者らとの反省会で聞取り調査を行っているが発達障害児の安全については概ね了解が得られているが、施設居住の発達障害児・者に関しては周辺地域から隔絶している処も多く周囲からの見守りは難しい現状が指摘された。 後援会(聞取り含む)を実施したのは以下の処を含め9か所である。「防犯環境設計」警視庁警察学校、東京都、2017年7月6日。「特別支援学校における寄宿舎における防犯面等についての取り組みや課題」沖縄県宮古市、2017年6月29日。「子どもの安全・地域の安全セミナー」:沖縄県、児童館職員、2018年2月22日。 発達障害児・者支援団体と質問紙項目を調整した後に、3歳から12歳までの児童の保護者2000人にWebによる質問紙調査を実施した(2018年2月)。障害児-グレーゾーン児童-健常児の類型化を図り様々な危険に対する安全確保策の共通点などを探った。発達障害児に有効とされる「構造化」は発達障害児の保護者にも認知度合いが低く実施率も低い結果となった。健常児と異なり発達障害児は慣れない場所での緊急時の安全確保が課題であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発達障害児の安全・安心は、非常に取り扱いが難しい項目がある。発達障害児は被害・加害の両面が存在することが考えられる。自らをコントロールできない発達障害児による咄嗟の行為による他害(他者を害する行為)について質問すべきかの議論をしたため。これらの質問項目検討作業に時間を要し質問紙制作作業が遅延した。最終的には、2018年2月に実施した質問紙調査の内容となった。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケートは2018年2月に回収を終了し、現在、分析作業を行っている。健常児及び発達障害児の出現率は既往研究と近似のため妥当性のある結果が期待できる(健常児71.4%、グレーゾーン児童①(発達障害を疑うが医師には相談せず)13.7%、グレーゾーン児童②(医師に相談したが診断はない)8.3%、発達障害児6.6%)。この分析作業を通して発達障害児・者の安全・安心に関して定性的に言われていた内容を定量的に把握できると考える。結果は、簡易な冊子にまとめ、発達障害児者・者支援団体および通常学級教員、特別支援学級教職員、児童館職員、自治体生活安全課職員らに配布して調査結果の妥当性の評価などを得る。とくに発達障害の診断は得ないが、保護者が発達障害を疑うグレーゾーン児童の結果は通常学級の教員には重要である。 また、各自治体などで行われる安全・安心に関する講演会では、ダイバーシティ(社会の多様性)を考慮し発達障害児・者の安全確保策の重要性を強く訴え、講演後に参加者や講演会主催者らに聞き取り調査を実施し、啓蒙普及と面接調査を行い調査結果の妥当性を得る。 これらの妥当性の検証を踏まえて、研究結果を論文で公開し啓蒙普及に取り組むこととする。
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Causes of Carryover |
保護者らの意見聴取のための配布資料作成および論文作成が費用として考えていたが、質問紙調査の実施に時間がかかり配布資料・論文作成に至らず次年度に使用となった。 次年度は、子どもの安全・安心の講演会での啓蒙普及用配布資料の作成費用として使用する。講演会での配布資料は実施団体(主には自治体)が負担するが、本研究成果の配布資料は講演会とは切り分けて作成し配布する。 また論文投稿費用として使用する。2018年8月の日本福祉のまちづくり学会での口頭発表など複数の学会での発表を予定している。
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Remarks |
本年度は9か所の講演会で発達障害児の安全確保策を啓蒙普及した。「子供・女性に対する犯罪の未然防止について」警視庁高島平警察署。「防犯環境設計」警視庁警察学校。「特別支援学校における寄宿舎における防犯面等についての取り組みや課題」沖縄県宮古市。「子どもの安全・地域の安全セミナー」沖縄県庁。「春日井安全アカデミー」春日井市役所。など
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