2016 Fiscal Year Research-status Report
悪性腫瘍のハイパーサーミアのためのワイヤレス温度計測・治療システムの研究
Project/Area Number |
15K01277
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
水戸部 一孝 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (60282159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 元 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20323149)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハイパーサミア / 低侵襲 / 温度計測 / 悪性腫瘍 / 誘導加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,現有設備である多軸ロボットアームに磁束印加検知ユニット(前年度に試作)を固定し,新規に導入した制御用PCを介して三次元空間に任意の軌道を生成できる汎用的な実験系を構築した.加えて,計測制御システムの開発環境であるLabVIEWを用いて,ピックアップ電圧値を元にAu-FILCTを一定温度に誘導加熱する,高出力誘導加熱電源を組み合わせた温熱治療システムを開発した. 磁束歪み検知ユニットに設置された複数組のピックアップコイルは,初期バイアス除去回路(平成27年度に試作)を介してロックインアンプに接続している.ここでは,計3台のロックインアンプをGPIBインターフェースで接続した同時計測システムを実現しており,リファレンスデータとして必要なAu-FILCTの温度は,光ファイバー温度計(現有設備)にRS-232Cで接続された計測用PCで自動計測できる評価実験系を構築した.磁束歪み検知と温度計測の2種類の実験系を組み合わせて,S/N比の向上に不可欠な磁束印加検知ユニットの動作パターンを検討し,物理実験により妥当性を評価した.その結果,粗大移動と巧緻移動を組み合わせて体内に埋め込まれたAu-FILCTの初期位置を特定できること,回転走査により体動の影響を低減できること等を明らかにした. 本研究を進める過程で,Au-FILCTよりも発熱特性は劣るが検出感度を向上できる発熱体を新たに発見している.なお,当該年度までに得られた研究成果は,国内外の国際会議の場で発表すると共に,学術論文および知的財産として申請している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り,平成28年度前半は,現有設備である多軸ロボットアームに磁束印加検知ユニットを固定し,制御用PCを介して三次元空間に任意の軌道を生成できる汎用的な実験系を構築した.加えて,計3台のロックインアンプをGPIBインターフェースで接続した同時計測システムを実現している.さらに,S/N比の向上に不可欠な磁束印加検知ユニットの動作パターンを検討すると共に,物理実験により本手法の妥当性を評価している.その結果,粗大移動と巧緻移動を組み合わせて体内に埋め込まれたAu-FILCTの初期位置を特定できること,回転走査により体動の影響を低減できることを明らかにした. 平成28年度後半は,複数組のピックアップコイルから得られる信号を同期検波するためのアルゴリズムを考案するとともに,LabVIEWで自動計測制御のプログラムを作成し,ピックアップ電圧値を元にAu-FILCTを一定温度に誘導加熱する,高出力誘導加熱電源を組み合わせた温熱治療システムを開発している. 当初の計画では想定していなかったが,本研究を進める過程でAu-FILCTよりも透磁率の変化が大きい検出感度を向上可能な発熱体を新たに発見しており,現在,特許申請準備中である. 以上の研究成果を踏まえ,「当初の計画以上に進展している」と自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画当初は最終年度である平成29年度に,動物実験により構築したシステムの課題を洗い出す予定でいた.しかしながら,平成28年度に物理実験から得られた知見と過去に実施した動物実験の知見を組み合わせることで,本手法の妥当性と課題の洗い出しに一定の目処が立った.一方,平成28年度の研究過程で,Au-FILCTには及ばないが金コート無しのFILCTよりも発熱効率が高く,キュリー点前後での透磁率の変化も大きな発熱体を新たに発見した.生体に無害なこの発熱体について現在評価実験を進めているが,本発見は,これまで定温加熱治療可能距離の限界,大きな壁であった30mmを超える可能性を秘めており,既存の技術の限界を超えるブレークスルーとなり得ると考えている.そこで,次年度は目的をより高く上方修正し,Au-FILCTに代わるこの発熱体の物性値の計測に重点を置き,新たに知的財産を申請し,学術論文を作成するために必要な研究開発の優先度を高め研究を進めることとする,
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Research Products
(7 results)