2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の睡眠の質に関する研究
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15K01281
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤本 圭作 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (70242691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 洋 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (00322131)
安尾 将法 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (20402117)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性呼吸器疾患 / 夜間低酸素血症 / 睡眠障害 / 自律神経機能 / 睡眠呼吸障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
夜間に顕著な低酸素血症を示す慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、夜間の低酸素血症と関連して自律神経機能の障害がみられるのかについて検討をおこなった。日中に室内気吸入下、あるいは酸素吸入下で安静時PaO2>55 Torrを示す安定期にあるCOPD患者20名(COPD群)と、コントロールとして換気障害を認めない60歳以上の健常ボランティア13名(コントロール群)を対象とした。心房細動や高度の不整脈を有する者および睡眠時無呼吸症候群は、自律神経活動の評価に支障を来たすため除外した。交感神経活動の指標であるLF/HF比率はCOPD群で有意に低値であり、むしろ高齢者健常人群において交感神経活動は高い結果となった。副交感神経活動の安定性の指標である%HF20secおよび%HF5minは低値であり、COPD患者において夜間睡眠中の低酸素血症と関連して副交感神経活動が不安定となり睡眠の質が低下していると考えられた。その後、対象疾患をCOPDだけでなく、肺線維症、肺結核後遺症、気管支拡張症に広げ、10名の患者に対して睡眠検査室にて経皮CO2モニターと簡易脳波計による睡眠構築の検査を追加し、副交感神経活動の不安定性との関係について詳細な検討をおこなっているところである。8名の検討では夜間睡眠中の低換気、特にREM睡眠に一致して顕著な低酸素と炭酸ガスの上昇を認め、睡眠効率の低下、深睡眠の欠如、覚醒反応の増加が認められており睡眠障害が客観的にも証明され、ある程度、仮説が正しいことが証明できていると考えられる。今後は軽症の慢性呼吸器疾患の患者も含めて、感圧センサシートによる無呼吸低呼吸、体動、経皮SpO2およびCO2モニター、簡易脳波計による睡眠構築の評価、自律神経機能について検討をおこなっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に慢性呼吸器疾患患者20名、高齢者健常人ボランティア20名を予定していたが、健常人ボランティアが未だ13名で少ない。また、全例に簡易脳波計による睡眠構築および経皮CO2モニターをおこなう予定であったが、機器の関係で十分に達成されていない。しかし、睡眠構築は全例計測できていなかったが、慢性呼吸器疾患では夜間の低換気による低酸素血症と関連して副交感神経活動が不安定になっていることが証明され、ある程度の成果があがっていると自己評価している。今後、経皮CO2モニターも含め、機器の整備および準備が整ったので対象患者を増やして検討していけば問題ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では、平成27年度に引き続き、対象患者をCOPDだけでなく、肺線維症、肺結核後遺症、気管支拡張症などの慢性呼吸疾患に広げると共に、軽症から中等症の患者も含め症例数を増やす。そして、夜間に経皮的酸素飽和度が90%以下にならない非夜間低酸素血症群と90%以下に低下してしまう夜間低酸素血症群に分けて、睡眠障害および夜間自律神経機能障害の有無について検討する。平成27年度は10例であったので疾患群を30例に、高齢者健常ボランティアを30名に増やす。1ヶ月に睡眠検査室での検査を5例とすれば予定通りとなる。また、夜間に顕著な低酸素血症となる患者に対して酸素投与をおこない、低酸素血症の改善により睡眠構築および睡眠障害、自律神経機能の改善が得られるかどうか、またこの時にCO2の上昇が生じないか併せて検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成28年度請求額と合わせて消耗品費として使用する。
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