2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀ノ岡 正博 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40234314)
橋本 守 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (70237949)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再生医工学 / 組織工学 / マイクロ流体デバイス / 血管新生 / 低酸素 / 培養軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
観測対象とする培養モデルとして,血管新生および関節軟骨に着目して培養系を構築した. 血管新生モデルでは,低酸素による新生血管の発芽をマイクロ流体デバイス内で再現するために,血管内皮細胞と線維芽細胞の共培養をおこなった.デバイス中央のチャネルをフィブリンゲルを充填して血管外組織とみたて,ゲルの側面に隣接した2つのチャネル壁にそれぞれ異なる細胞を播種して初期状態とした.血管内皮細胞を播種したチャネルでは播種後2日目には強固な細胞間接着が完成した血管壁様構造が確認できた.細胞播種チャネルのさらに外側には規定酸素濃度の混合ガスを灌流するためのガスチャネルが設置してあり,2つの細胞播種チャネルを異なる酸素濃度に制御できる.今回は低酸素暴露する線維芽細胞側のガスチャネルの酸素濃度を0%に,通常酸素の血流に暴露される内皮細胞側のガスチャネル酸素濃度を10%に設定することで,異なる酸素環境おかれた細胞の共培養を実現した.それぞれの細胞の酸素環境を確認するために,酸素不足状態で発現する低酸素誘導因子HIF-αの免疫染色を行ったところ,線維芽細胞内でのみHIF-αの発現がみられ,所期の酸素環境環境における培養状態が実現できていた. 関節軟骨培養モデルでは,再生医療で臨床応用されている自家軟骨培養組織の製造工程に従って,ウサギ膝関節由来軟骨細胞をコラーゲンゲルに包埋した培養軟骨をマイクロ流体デバイスのチャネル内で作製した.通常播種密度で3週間培養すると,軟骨小腔様の細胞集団が形成され,軟骨基質である2型コラーゲンの産生が確認できた.これらの結果はデバイス内でも従来の培養系と同様に正常な軟骨細胞が維持できているができていることを示している.従来の培養系ではゲル内部の細胞を培養状態で観測することはできないが,デバイスを用いることで時系列観測が容易となるので,培養条件の最適化への貢献が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロ流体デバイスを設計をみなおしため,新たな製造工程の検討に時間を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,観測系の改良と観測結果を評価する定量指標の確立して,再生医療用培養組織の製造工程・品質評価における微小領域培養と非侵襲観測の有用性を示すこと目指す.
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Causes of Carryover |
マイクロ流体デバイスの鋳型の作製法を,フォトレジスト方式から3Dプリント方式に変更する検討をしてきたが,市販の3Dプリンターのモデルチェンジが遅れたために本年度内の納品ができなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新方式の型作製に必要な3Dプリンターを購入する.
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Research Products
(4 results)