2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀ノ岡 正博 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40234314)
橋本 守 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (70237949)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生医工学 / 組織工学 / マイクロ流体デバイス / 血管新生 / 低酸素 / 培養軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外基質の力学的性質が細胞へ及ぼす影響を観測するための培養系を構築して,細胞の遊走や接着を評価した. 細胞外基質の硬さは方向性のある細胞遊走に影響を及ぼすことが知られている.培養系の細胞外基質の硬さを変化させる従来法では,構成物質の密度や添加する架橋剤の濃度勾配によって硬さが徐々に変化する傾斜構造を実現している.しかし,これらの基質の微視的な組成が異なっているため,細胞が感受している硬さの実態がどのようなものは不明である.そこで本研究では,pH勾配があるマイクロ流体デバイスの流路内でコラーゲンをゲル化することで新たな傾斜構造基質を作製した.コラーゲン線維の構造を非侵襲的に可視化できる第2高調波発生光(SHG光)を用いて作製したコラーゲン基質の構造を観測した結果,太く疎な線維から細く密な線維に段階的に変化する傾斜構造が確認できた.この傾斜構造基質内に腫瘍細胞を播種して遊走を観測したところ,細く密な線維構造側への移動が顕著にみられた. 細胞が接着するときには基質を引っ張るために変形が乗じる.この引張力は細胞機能の評価指標となるので,基質の変形をもとに細胞の引張力を定量化する牽引力顕微鏡の開発されてきた.従来の方法では変形解析のマーカーとなる蛍光ビーズを分散させた合成高分子製の基質を用いているが,生体内環境の再現という点では十分ではない.本研究では生体内に近い環境を再現できるコラーゲンゲルを用いた基質の変形解析方法の検討をした.SHG光を用いてコラーゲンゲルを顕微観測するとコラーゲン線維の構造を可視化できるので.マーカー不要の変位解析が可能となる.線維芽細胞をコラーゲンゲルの表面に播種して接着する過程の2時刻でSHG画像を取得し,デジタル画像相関法で基質の変形を定量化した.その変位場は基質の局所構造を反映した不均一な分布となっており,SHG画像を用いることの有用性が確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
非線形光学顕微鏡の光源として使用していた超短パルスレーザーが故障して修理不能となったため,当初計画にはなかった観測系の大幅な再構築が必要となり遅延が生じた,
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Strategy for Future Research Activity |
顕微鏡の光源の変更に伴う観測系の構築は次年度初期に終了予定である.3次元培養細胞の遊走を新たな観測対象として新規デザインのマイクロ流体デバイスを開発し,培養過程の細胞を追跡する.
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Causes of Carryover |
非線形光学顕微鏡の光源として使用していた超短パルスレーザーが故障して修理不能となり,当初計画にはなかった観測系の大幅な再構築が必要となり遅延が生じたために研究期間を延長した.次年度分として確保した予算は,顕微鏡再構築に必要となる物品費,成果発表のための論文投稿費および旅費に使用する.
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Research Products
(5 results)