2017 Fiscal Year Research-status Report
身体能力の育成と体育授業の成果との関係-コオーディネーション能力に着目して-
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15K01542
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
續木 智彦 西南学院大学, 人間科学部, 講師 (60468791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 健 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (60125698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 身体の能力 / コオーディネーション |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツテストの合計点は、1970年代を通じて向上したが、1980年前後をピークとして低下に転じ、1990年代後半には開始時と同じか少し高い水準まで下がってきた。ただし、11歳の運動能力テストの合計点が1990年代以降、開始時の水準より大きく低下しているのが注目された。これは、持っている基礎体力を運動の形にまとめて発揮できないことを示しているとも考えられる。その後、1998年にスポーツテストの内容と方法が再編され新体力テストとなり、以後、その合計点は小・中学生とも右肩上がりの向上を続けているが、体力の向上は依然として重要な課題とされている。2008年改訂の学習指導要領の基になった中教審の体育と保健に関する議論は「健やかな体を育む教育のあり方に関する専門部会」(以下「健やか部会」)で行われた。そこでは、身体能力を育む事が重要な課題となりながらも、体育授業を旧来の直接的な「体力つくり」の場とするのではなく、運動の技能や知識を学習することを授業の基本に据えつつ、体力問題にも応えようとしてきた。そこで、「健やか部会」では、「身体能力のエッセンス」(旧来の体力要素)を直接評価するのではなく、これと体育授業の技能の学習成果の評価とを関係づける「代位的目標達成指標」を設定できないかという議論が行われた。しかし、この議論は完遂されず、結局「審議のまとめ」では「身体能力は体力と技能とからなる」とされ、「身体能力の要素」を育む事が重要だとされた。ただしそこには、体育授業における技能学習の成果が意識されており、身体能力の育成と授業における技能学習の成果とをどう関係づけるかという問題は、依然として重要な課題として残されている。 そこで本研究は、「教えるべき内容」と「育てるべき資質や能力」との接点・関係を捉え・評価方法のプログラムを試案することを目的とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
開発した「教えるべき内容」と「育てるべき資質や能力」との接点・関係を捉え・評価方法のプログラムは、①閉眼片足立ち、②30m走、③30mスラローム走、④ねらいボール的あて、⑤ねらい幅飛び降り、⑥フランカー課題の6つであった。①は閉眼片足立ちはゴム板(20cm×20cm)にの上で測定し時間の最大値を20秒とした。②は30m走、③はスラローム走は、カラーコーンをスタートから12m15m18m19m20m21m24m27mの地点において、 それをスラロームして走る。④は、踏み台の上から、少し離れたところに置いたマット上に、目標線に両足の踵がぴったり合うようにねらって跳びおりる(目標戦のところに足跡を置き、透明なデスクマットをかぶせる)。踏み台の高さは30cm(小学校用のポートボール台を使用する)マット上の目標線までの距離は、男子が80cm女子が70cm(10歳児の立ち巾跳びの全国平均の1/2)とする。得点は、目標線に対して、両足のうち近い方の足の踵の着地位置が、±1cm以内だったら10点、±2cm以内だったら9点・・・・±10cm以内だったら1点、それ以上跳びすぎたり跳び足りなかったりしたら0点とする。テストは、練習1回、試技を3回行ってそれぞれ得点を記入し合計点を求める。⑤は、男子は8m女子は5m離れた距離(10歳児の全国平均×1/3)から、垂直に設置された直径80cmの輪(セストボールゴール)にボールを投げ入れて、入った回数を得点とする。投げる回数は、練習3回、試技10回で、同じ被験者が連続して行う。輪の高さは、輪の一番低い部分が地上から140cmの高さとする(10歳児の平均身長) 。⑥は、刺激に対する単純反応=興奮性、選択制反応、複雑な選択反応について測定した。しかし、実験対象者の人数が少なく測定の妥当性の検証が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した測定項目の妥当性検証のため実験対象者を増やすことを計画している。新体力測定実施時期に合わせて協力校を選定する。データ収集後、開発した測定項目の妥当性、独立性について検討する。また、これまでの研究の成果を学会発表、論文化する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた調査が実施できなかったため繰越金が生じてしまった。繰越金は次年度の調査に使用させていただく予定である。調査は分担者の久保健氏が協力校の調整を行っているため、協力校は関東圏となる。そのため、繰越金は分担者との打ち合せや、調査実施の際の旅費に使用する。また、必要に応じて調査の際に使用する備品購入、調査補助・データ入力における人件費として使用する計画である。
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Research Products
(1 results)