2016 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ活動の運動様式・強度・実施時間帯が睡眠時の血圧及び睡眠に及ぼす影響
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15K01560
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
三浦 朗 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (30190581)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テニス / 自転車運動 / 血圧 / 睡眠 / 実施時間帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
(実験1):テニス(2時間30分の標準的な練習)を午前中に実施した日,午後に実施した日,実施しなかった日の夜に①総睡眠時間・中途覚醒時間・睡眠効率・入眠潜時,②自律神経系緊張度の評価とREM・non-REM浅い・深い睡眠の3段階の同定,③睡眠中の血圧を測定した。被検者は,硬式テニス部員男女13名(18~22歳)であった。午前の練習は10時から13時、午後の練習は15時から18時の間に行った。午前実施日において,コントロール日と比較して入眠潜時および中途覚醒時間の有意な短縮が見られた。睡眠時の血圧については,午前実施日と午後実施日ともに,コントロール日と比較して,平均血圧の睡眠中全体の平均値に有意な低下が認められた。 (実験2)自転車運動を午前中に実施した日,午後に実施した日,実施しなかった日の夜に実験1と同じ測定項目についてデーターを収録した。各被験者は,低強度(50% HRR)の一定負荷脚自転車エルゴメータ運動を60分間行った。午前実施日は,コントロール日より睡眠効率が高くなる傾向があった。午前実施日は午後実施日よりも入眠潜時が有意に短縮した。就寝前の値に対する睡眠中の最低値の差は,収縮期血圧において,午後実施日は午前実施日より有意に増大し,コントロール日より大きくなる傾向がみられた。 (実験3)軽度の本態性高血圧患者を含む中年男性を対象として,テニスの実施が睡眠と睡眠時の血圧に及ぼす影響を検討した。テニス愛好者の中年男性6名(53~54歳)が本実験に参加した。各被験者は,テニスを実施した日と実施しなかった日の夜に,実験1と同様の測定を行った。実施したテニスの内容も実験1と同様であった。睡眠中の血圧の平均値を,テニス実施日とコントロール日で比較したところ,就寝中の拡張期血圧,平均血圧において,テニス実施日は,コントロール日に比べて有意に低い値を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は運動様式を自転車運動(比較的単純な動き)としたが,平成28年度は,運動様式をテニス(認知判断を伴う球技)とした。その上で,前期は,実験1として,テニスを午前中に実施した日,午後に実施した日,実施しなかった日の夜に①総睡眠時間・中途覚醒時間・睡眠効率・入眠潜時,②自律神経系緊張度の評価とREM・non-REM浅い・深い睡眠の3段階の同定,③睡眠中の血圧を測定し,運動実施時間帯がその日の夜間の睡眠や血圧に及ぼす影響を検討した。また,実験2として,実験1のテニスを低強度自転車運動に置きかえて,午前中に実施した日,午後に実施した日,実施しなかった日の夜に実験1と同じ測定項目についてデーターを収録した。平成28年度後期は,実験3として軽度の本態性高血圧患者を含む中年男性として,午後のテニスの実施が睡眠と睡眠時の血圧に及ぼす影響を検討した。平成28年度の計画にほぼ一致した内容の実験を行い,データーの記録解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に実施予定の下記のふたつの実験を行う (実験1):夜間にフットサルを実施した日とコントロール日の夜の睡眠の量と質,自律神経系緊張度,睡眠時の血圧の検討。被検者:被検者は,成人フットサル愛好者12名とする。運動様式:フットサルの内容は,ウォーミングアップ,スキルトレーニング(パス,ドリブル,シュート),フォーメーション(2対2,3対3),ゲームで構成される夜間(午後6時~9時)の練習。測定は昨年度の実験1と同様で,睡眠中の血圧(ホルタ心電・血圧計:RAC-3502,日本光電),自律神経系緊張度の評価(HF/HF+LFを副交感神経,LF/HFを交感神経の指標とする)とREM・non-REM浅い・深い睡眠の3段階の同定(睡眠ステージ判定装置:NEM-T1,TOSHIBA),総睡眠時間・中途覚醒時間・睡眠効率・入眠潜時(簡易身体活動・睡眠同定装置:ActiWatch AW-16,RESPIRONICS)とする。 (実験2):夜間にレジスタンス運動(ウエイトトレーニング)を実施した日とコントロール日の夜の睡眠の量と質,自律神経系緊張度,睡眠時の血圧の検討。被検者:被検者は,成人ウエイトトレーニング愛好者12名とする。運動様式は,ウエイトトレーニング。実施内容は,強度:10~20RM(最大挙上重量) ,挙上回数:5~10回×3~5セット,種目:レッグプレス,ベンチプレス,デッドリフト,などで構成される夜間(午後6時から8時半)の練習。測定:実験1と同様。
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Causes of Carryover |
予定よりも使用額が少なくなった理由は以下の2点である。①当初予定していた,国際学会への参加が,都合によりできなくなった。②当初予定していた,国内学会への参加が,都合によりできなくなり,旅費が予定より低い執行額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会参加計画を見直し,予定よりも1件増やして,旅費として申請する予定である。
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