2015 Fiscal Year Research-status Report
次世代微細構造3D解析による修復筋周囲の間質細胞相互作用の形態的評価
Project/Area Number |
15K01631
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
小林 正利 日本体育大学, 体育学部, 教授 (30320154)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 筋修復 / 筋線維間質 / FIB/SEM / マクロファージ / 線維芽細胞 / 白血球 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋の損傷・修復過程において、筋組織間質に集積する細胞とこれらの細胞相互関係について、微細三次元構造と組織構築を明らかにすることを目的として、実験動物の腓腹筋を挫滅した。挫滅後腓腹筋を経時的に採取し、電子顕微鏡観察用試料を作製した。この試料を次世代電子顕微鏡FIB/SEM(Quanta 3D FEG, FEI)をもちいて画像を採取し三次元微細構造解析を順次進めている。 ①筋損傷1日後には、筋間質には、長い突起を有する線維芽細胞様の細胞、分葉核および細胞内に顆粒を有する白血球様の細胞、指状突起を有するマクロファージ様の3種の細胞が存在する事を確認した。これらの3種の細胞は損傷1日後から5日後まで存在することを確認している。 ②損傷5日後の間質には、白血球様細胞、マクロファージ様細胞の数は減少傾向にあったが、線維芽細胞様細胞は修復筋線維周辺で筋線維を相互に囲む様に細胞性のネットワークを形成していることを確認した。 ③損傷1,2日後の筋線維には従来から報告されているとおり、マクロファージ様細胞が損傷金銭以内へ浸潤している像が確認出来た。また浸潤中のマクロファージ様細胞が筋線維外に存在する細胞と接触・連絡し細胞性のネットワークを形成していることが確認出来た。 ここまでの3次元微細形態観察・解析の結果かから、これらの細胞性ネットワークは筋修復過程で偶然接触したものではない可能性が考えられ、サイトカイン等の液性制御だけでなく間質細胞相互のダイレクトコンタクトによる制御をうける可能性が予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FIB/SEMによる解析については順調に試料作製が進んでおり、画像取得も順次進めている。しかしながら、本研究計画で対象とする細胞性ネットワークの相互関係は、予想以上に広範にわたることが明らかとなった。また、国内でFIB/SEM観察の先端をいく久留米大にて画像取得を進めているが、FIB/SEMの使用頻度が極めて高く、1度に観察できる試料の数が限られているためこの点が進行を遅らせている。 また、予想以上に3次元解析に時間がかかっており、FIB/SEM tomography法で効率良く解析するため方法の最適化を模索・検討している。現在は連続画像を解析ソフトのAmiraによる画像解析法で検討しているが、時間と労力を最適とする他の解析方法についても検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って研究を進める。FIB/SEMで損傷後に筋間質に観察された各細胞について、筋損傷モデル動物の下肢筋について免疫組織化学観察用試料を作製し、マクロファージマーカーや線維芽細胞マーカーに対する各抗体を用いて免疫組織化学染色を行い、細胞腫を同定するとともに、幹細胞マーカーや接着分子に対する抗体を用いて染色し、各細胞の機能についての解析も重視していく。 また、実験動物用の伸張性収縮装置を用いて、電顕観察用試料を作成し、伸張性収縮後の筋間質の微細三次元組織構築、細胞構築についてもFIB/SEMをもちいて検討を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)