2016 Fiscal Year Research-status Report
金属依存性デアセチラーゼの触媒反応メカニズムの解明と阻害剤の開発
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15K01815
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 努 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (10357668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上垣 浩一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, グループ長 (00356544)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CE-14デアセチラーゼ / D-アミノアシラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
N-アセチル基を加水分解する2種類の酵素DacおよびDAAをターゲットとして本研究計画を立てているが、平成28年度はDacについての阻害剤デザインの完成とDAAについての研究の着手が重なるフェーズとなった。 Dacに関しては、超好熱性古細菌Pyrococcus horikoshii由来酵素を用い、デザインした阻害剤MPGまたは二糖基質との複合体の構造を、X線結晶解析または分子動力学シミュレーションによって明らかにした。それにより、基質糖の水酸基と3個のアミノ酸側鎖が特異的に水素結合を形成していることが明らかになった。Dacは二糖基質の非還元末端側のN-アセチル基にだけ作用する特異性を有するが、その特異性がこの基質-酵素相互作用によって明確に説明された。DacはCAZyデータベースのCE-14ファミリーに属するデアセチラーゼである。CE-14デアセチラーゼは酵素により作用する基質は異なるが、。これらのうち立体構造がすでに明らかになっているものを取り出して比較することにより、それらのアミノ酸配列や立体構造は互いに相同ではないが、上記「3個のアミノ酸側鎖」は立体的に保存されていることが明らかとなった。このことから、Dacにおいて明らかにした基質認識機構は、CE-14デアセチラーゼに共通のものであるという可能性が高い。 DAAに関しては、超好熱性古細菌Pyrococcus abyssi由来酵素ndaDを用い、構造生物学的研究に着手した。結晶化スクリーニングからndaDの最適結晶化条件を探索し、空間群P21、分解能2.1Åの反射を与える結晶を得た。分子置換法により初期位相を決定し、構造精密化を進めたが、触媒部位の金属を含む部位の電子密度が不明瞭であった。次年度はこの点を改良することが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Dacに関しては【研究実績の概要】の内容で論文発表をした。DAAに関しては、結晶化位相決定という構造生物学における大きな壁を突破した。その点で、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
DAAに関し、触媒部位の電子密度が明瞭になる努力をする。それと並行して、各種N-アセチルD-アミノ酸を準備して、本酵素の基質特異性のデータを蓄積する。
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Causes of Carryover |
平成28年度にはDAAの基質アナログのデザインと合成を予定していたが、DAAの構造解析の結果触媒部位の電子密度が不明瞭だったため、その計画が次年度に持ち越しとなった。そのため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は主にDAAの構造学的・酵素学的研究のために研究費を使用する。
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Research Products
(4 results)