2015 Fiscal Year Research-status Report
世界経済への再統合がミャンマーの都市近郊農村に与える社会経済的インパクト
Project/Area Number |
15K01881
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水野 敦子 九州大学, 経済学研究科(研究院), 助教 (10647358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 正彦 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60434693)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミャンマー / 農村 / 工業化 / 都市化 / 民政移管 / 労働力移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2011年の民政移管以降、急速に進むミャンマーの世界経済への再統合が、都市近郊農村に与える社会経済的インパクトに関する研究である。都市化と工業化の加速、およびそれにともなうヒトの移動の活性化によって、近代化が遅れ非農業部門も未発達のままに土地無し農業労働者層が滞留してきた農村は急速に変化しつつある。本研究では、ヤンゴン地域区内の都市近郊農村を調査対象と定めている。 平成27年度は、当初の計画では、関連資料の収集、先行研究の検討を行うとともに、現地にて予備調査を実施し、関係機関との調整や調査地の選定することなどを予定していた。ミャンマーにおいて農村調査の実施には関係機関の協力は不可欠であり、本研究では農業灌漑省に承認を得ることを予定している。しかしながら、ミャンマーでは11月に総選挙が実施され、その結果によって3月末に政権交代をすることとなった。そのため、たとえ予備調査の実施について同省と調整を図ったとしても、新政権の移行後に再調整が必要になる可能性が否定できないと考え、新政権移行後の2016年度に予備調査を実施することとした。 本年度は、文献資料の収集を中心に行った。特に本年公表された2014年に実施されたセンサスの結果の分析からは、現地調査を実施するうえで不可欠な基本情報を収集、分析することが出来た。 また、本研究の先行的研究としてこれまで実施してきたミャンマーにおける縫製産業の発展に関する研究について、アジア政経学会において口頭発表を行った。今後の研究を進めるうえで大変有益な議論を討論者および参加者と交わすことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の初年度にあたる本年度においては、関連資料の収集、先行研究の検討を行うとともに、現地にて予備調査を実施し、関係機関との調整や調査地の選定することなどを当初の計画にしていた。 ミャンマーにおいて農村調査の実施には関係機関の協力は不可欠であり、本研究では農業灌漑省に承認を得ることを予定している。しかしながら、ミャンマーでは2015年11月に実施された総選挙によって2016年3月末に政権交代をすることとなった。従来、ミャンマーでは政府機関から協力を得るには、かなりの時間を要してきた。たとえ予備調査の実施について同省と調整を図ったとしても、新政権の移行後に再調整が必要になる可能性が否定できないと考え、新政権移行後の2016年度に調査協力依頼を行うことととした。 以上の理由により現地調査に関する関係機関との調整、および調査地の選定を次年度に延期することとしたために、研究の進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度の研究実施計画は、まず27年度に行なえなかった関係機関との調査に関して協力を依頼するとともに、予備調査を実施して、調査村の選定を行う。ヤンゴン地域区北西部に位置するタンダピン郡区から数村を選定することを計画している。同郡区はヤンゴン地域内で最も都市化率が最も低く、ヤンゴン地域内の工業部門への労働力の送出地となっている。 予備調査で得られる情報を精査し、本調査で計画している世帯調査の質問票を作成する。そのうえで、本調査を実施する計画である。ただし、予備調査の結果などによっては、本調査を来年度に実施する可能性もある。
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Causes of Carryover |
ミャンマーにおいて農村調査の実施には関係機関の協力は不可欠であり、本研究では農業灌漑省に承認を得ることを予定している。しかしながら、2015年11月の総選挙の結果によって翌年3月末に政権交代をすることとなった。そのため、たとえ予備調査の実施について同省と調整を図ったとしても、新政権の移行後に再調整が必要になる可能性が否定できない状況であった。 そのため、本年中の予備調査の実施を断念し、新政権移行後の次年度に予備調査を実施することとしたことが、次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は、本度に実施できなかった予備調査を調査対象地域において実施する予定であり、そのための旅費および人件費・謝金として使用する計画である。 なお、翌年度(28年度)分として請求した助成金については、本調査の実施およびデータ入力に関する費用(旅費、調査委託費など)として使用することを予定している。
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