2015 Fiscal Year Research-status Report
インドネシアの服飾に見るグローバル化とアイデンティティ
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15K01904
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Research Institution | The University of Shimane Junior College |
Principal Investigator |
塩谷 もも 島根県立大学短期大学部, 総合文化学科, 准教授 (90456244)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インドネシア / 服飾 / アイデンティティ / イスラーム / バティック |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始の年であるため、研究の枠組みをさらに明確化するため、服飾、グローバル化、イスラームに関する文献調査と資料収集を実施した。また、インドネシアからのファッションの発信の現状、さらに作り手を中心とした調査のために、インドネシアにおいて約3週間の現地調査を実施した。 ジャカルタ首都特別州、ジョグジャカルタ特別州、中部ジャワ州スラカルタ地方において調査を行なった。ジャカルタ首都特別州においては、布の売り方と種類に焦点をあて、とくにバティックの現状についてのデータを収集し、地域ごとの特徴を入れたバティックが新たに開発されていることが明らかになった。さらにバティックの服飾デザイナーを対象とした、インタビュー調査も行なった。 ジョグジャカルタ特別州においては、天然染料を使ったバティック工房を対象に調査を行なった。中部ジャワ州スラカルタ地方においては、作り手に焦点をあてた調査を実施し、バティックの街であるラウェアン地区の工房を中心とした調査を行なった。同時にインドネシアを代表するムスリム・ファッションデザイナー、さらに仕立て屋を対象とした聞き取り調査を行なった。 現地調査中には、ジャカルタのインドネシア科学院、ジョグジャカルタのサナタダルマ大学、インドネシア・イスラーム大学、中部ジャワ州スラカルタにあるムハマディア大学スラカルタ校に所属する現地の研究者も訪問し、情報収取と議論を積極的に実施した。インドネシアにおける関連書籍の資料収集もあわせて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バティックとムスリム・ファッションについて、それぞれ現地調査に基づいたデータ収集が進み、文献調査も順調に行われている。 インドネシアにおける現地調査の成果を活用しながら、バティックとムスリム・ファッションについて、以下の2本の論文を書き上げた。「インドネシアにおけるバティック布の現状とアイデンティティ」(『島根県立大学短期大学部松江キャンパス研究紀要』54号掲載)、「インドネシアのムスリム・ファッションと『正しさ』への意識」(本論文は、2016年度発行予定の『イスラームに基づく経済活動・行為成果論集』に掲載される予定である)。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に実施した各工房を対象として実施したミクロな視点での調査からは、それぞれが専門とする分野を分けながら、国内外を視野にいれたビジネス展開をしている現状が明らかになった。今後はそれをマクロな視点から分析するため、さらに現地調査を実施する予定である。 バティックとムスリム服のグローバルな展開について、データ収集を行なう。インドネシアのバティックやムスリム・ファッションが、マレーシアをはじめとして、他の東南アジア諸国でいかにビジネス展開をしているかを明らかにするため、フィールドワークを実施する。また、服飾、グローバル化、イスラームに関する文献調査と資料収集を引き続き実施する。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金で2万円を計上していたが、ゼロであったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として、本の購入等にあてる予定である。
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Research Products
(1 results)