2015 Fiscal Year Research-status Report
法曹の女性化とダイバシティの可能性:ジェンダー視点による法的支援の実質化に向けて
Project/Area Number |
15K01930
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
澤 敬子 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (60340444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 千原 立命館大学, 法学部, 教授 (50309085)
三輪 敦子 公益財団法人世界人権問題研究センター, 第一研究部, 研究員 (90414119)
南野 佳代 京都女子大学, 法学部, 教授 (60329935)
手嶋 昭子 京都女子大学, 法学部, 准教授 (30202188)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 法曹 / 司法 / ダイバシティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、法曹の女性化(女性の増加と地位向上)がジェンダー視点からの法的支援の実質化に貢献しうる可能性と条件を明らかにする国際比較に向けての準備的な研究を行うことにある。そのために、法曹のダイバシティ(女性・マイノリティ)研究が進んでいる国々の理論的到達点やそのダイバイシティ施策を明らかにしたうえで、国内での法曹、特に女性弁護士への聞き取り調査によって、法曹の女性化とジェンダー観点からの法的支援の間にある関連性と課題を探り、今後の質的・量的調査の検討枠組を明らかにする。また、その際、日本のジェンダー法の進展に関わる法過程における女性弁護士の機能を、正確に評価し研究に組み入れるため、これを法社会学的な観点から位置づける作業を行う。 27年度は、研究計画に従い、法曹の女性化とジェンダー観点からの支援の間にある関連性と課題を、特に裁判官についての文献調査を行い、また、戦後の女性法曹の役割・機能やそれを可能にした資源や条件を明らかにした。 前者については、現時点までの研究成果を雑誌報告している。海外での司法におけるジェンダー・ダイバシティ状況と施策の現状と課題を参考に、司法における女性の増加が増加自体に大きな意義を持つ一方で、裁判官の性と判決の関連性の研究からは女性の増加によってジェンダーの権利が実質化するだろうとは必ずしも簡単には言えないながら、従来の組織と異なる性である女性の増加が、その存在と組織でのありかたを通して男性裁判官のジェンダー観に影響を与えたり組織の在り方を変えたりする可能性を指摘した。但し、その際になんらかのアファーマティブな取り組みがないままでは、女性裁判官の階層化、周辺化が生じやすいことも指摘している。女性法曹、特に戦後の女性弁護士の役割や機能については、現在報告のため取りまとめ中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りの進展がみられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は日本の女性法曹の機能についての法社会学的分析、海外のダイバシティ研究、女性法曹によるジェンダー支援の課題についての検討を行う予定である。とりわけ司法におけるダイバシティ研究の現状、女性弁護士とジェンダー支援の歴史と現状について検討していきたい。
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Causes of Carryover |
採択時の予定と異なり今年度の報告が国内で可能であったことにより旅費が計画よりも少なくて済んだためと、検索等のための人件費が抑えられたために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度以降、海外での報告が複数回入る予定である。司法のダイバシティ、女性法曹の課題については海外の議論状況を知る必要があるため、積極的にワークショップや学会に参加する予定である。
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