2016 Fiscal Year Research-status Report
国有林野の「協働型管理」におけるツーリズム活用・創出の意義と課題
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15K01946
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
大浦 由美 和歌山大学, 観光学部, 教授 (80252279)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国有林 / 協働型管理 / ユネスコエコパーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,2000年代初頭から推進されている国有林野の「協働型管理」における多様なパートナーシップ形成を,特にツーリズムの活用および創出の点から調査し,これらが地域づくりや自然資源管理にどのような効果および課題をもたらしているのかを明らかにすることを目的としている。今年度は,主として赤谷プロジェクト(群馬県みなかみ町)の取り組みについて,関係者へのヒアリングおよび文献調査を行った。 赤谷プロジェクトは,群馬県旧新治村(現みなかみ町)を中心に広がる約1万haの国有林をフィールドに,関東森林管理局,地元旧新治村の住民グループである地域協議会,そして日本自然保護協会(本部・東京)の三者が協定を結び(2004年),共同で「赤谷川・生物多様性復元計画」を推進している。外部からの参加者を含む「サポーター制度」とともに,地域住民の参加による持続的な地域づくりとの連携が目指されており,成果も上げているが,2013年度の新治地区住民に対するアンケート調査では,プロジェクトを知っているが,取組内容がよくわからないと回答する人が半数近く存在し,地元との関係構築に課題を残していることがわかった。他方,2012年の綾プロジェクト視察を契機に町では自然を守り生かす地域づくりの一環としてユネスコエコパークを目指すことになり,赤谷プロジェクトと町行政の連携が強められている。赤谷プロジェクトで「科学的根拠に基づく生物多様性の復元」を先行して実践していたことが申請書の準備等でも有利に働き,また日本自然保護協会の協力も得られるなど,全町的に赤谷プロジェクトが再評価されつつある。ツーリズムの点からは,赤谷の取り組みを活かしたエコツアーの他,地元住民(特に子ども)が自分たちの地域を知る取り組みも含むかたちで着地型のツアー開発が検討されている。ツーリズムを活用したパートナーシップの形成も新たな段階に入るだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他の教育プロジェクトや管理運営業務,授業カリキュラムなどの担当が集中したため,出張の日程が確保できず,いくつかの調査が遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 残りの現地調査を重点的に進めるよう,日程の確保に努める。 (2) エフォート管理をさらに厳密に行い,本研究を最優先とする。 (3) 北海道森林管理局,九州森林管理局,中部森林管理局における実態調査を進める。
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Causes of Carryover |
今年度に関わらざるを得なくなった他の教育プロジェクトや管理運営業務,授業カリキュラム等の関係で,出張の日程が確保できず,予定していた調査が遂行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・旅費として(東京,群馬,宮﨑,熊本,長野)300千円+次年度使用額100千円 ・図書・資料(地域史関連図書),消耗品費として50千円+次年度使用額29千円
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