2017 Fiscal Year Annual Research Report
A philosophical approach to "the topologicai-affective knowledge" on the ground of the philosophy of Heidegger and Kyoto-school
Project/Area Number |
15K01999
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
秋富 克哉 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (80263169)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ハイデッガー / 西田幾多郎 / 西谷啓治 / 現象学 / 場所 / 住む |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、本計画の最終年度でもあるが、従来通り、ハイデッガーと京都学派(西田、西谷)をめぐってテクスト読解を中心に考察を進め、それらを論文や講演として発表した。まず、西田とハイデッガーを対照させて継続して発表している論考としては、年度末に「哲学の家郷(4)」として、西田の場所的論理とハイデッガーの論理の問題を照らし合わせることで、これまで考察を重ねてきた両者の前期思想の対照にいったんの区切りをつけた。この作業は同時に、両者の比較対照に対してフッサール現象学に着目する必要性を改めて自覚できたという意味で大きな意味を持った。事実、フッサール現象学の再読解がその後の研究の一つの課題になっている。また、西谷哲学についても、年度末の明治大学での現象学シンポジウムで、「世界ともの ─ 後期ハイデッガー現象学と西谷宗教哲学」という表題のもと、空の立場を軸とする宗教哲学を、後期ハイデッガーにおける現象学的思惟と対照させる提題を行なった。この観点はもともと双方の思想理解にとって重要な意味を持つものとして課題に掲げていたので、その作業に着手できたことは有意義であった。ただ、その広がりは思っていた以上に大きく、今回の作業はその着手に過ぎない。なお、主に上記三者の思惟についての場所論的な視点からの考察を通して、改めて「住むこと」という主題が浮上した。これについては、今後さらに主題として練り上げる必要性を感じている。 一方、海外の学術調査としては、ドイツのデュッセルドルフとミュンヘンを訪問して資料収集を実施し、相応の成果を収めたが、大学での新たな役職との兼ね合いで、スケジュール調整の不慣れのため、十分な日程を取ることが出来ず、予定していた研究者訪問が叶わなかったこと、昨年度に続き再度マールバッハの資料館を訪問する時間が取れなかったことが、反省点として残る。
|
Research Products
(2 results)