2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02007
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
屋良 朝彦 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (90457903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 俊義 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (00647943)
森野 貴輝 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (00586969)
福山 敦子 神戸女子大学, 看護学部, 講師 (60758530)
金光 秀和 金沢工業大学, 基礎教養部, 准教授 (50398989)
本田 康二郎 金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (40410302)
松本 大理 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (20634231)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精神医療 / 合意形成 / 応用倫理 / 在宅支援 / オープンダイアローグ / バフチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、精神医療倫理における患者の地域移行支援、及び、その際の対話の重要性を明らかにすることである。 まず、平成27年9月12日および13日に長野県看護大学において、第1回精神医療倫理研究会を行った。研究会初日は研究代表者の屋良が「研究プロジェクトの概要説明 ナラティヴの力を」というタイトルで発表を行った。次に研究分担者の福山と森野が本科研とは別の研究費で「イタリア精神医療の視察 ジェノヴァ編」報告を行った。次に、屋良及び金光が本科研費で参加した国際看護哲学会(於ストックフォルム)の報告を行った。最後に、松本が「ナラティヴ・アプローチにおける関係者たちの関係性」の研究発表を行った。二日目は、本研究プロジェクトの中心的なテーマである、オープンダイアローグを研究した。オープンダイアローグとは、フィンランドで1980年代から開発された、対話を新たな精神医療であり、本研究で患者の地域定着支援の要となるものである。最初に、オープンダイアローグの実際を紹介する映画、「『開かれた対話』フィンランドにおける精神病治療への代替アプローチ」を鑑賞し、その内容についてディスカッションを行った。 次に、3月22日・23日に金沢市にある大学コンソーシアム石川「しいのき迎賓館」において、第二回研究会を行った。まず、屋良が応用倫理学における対話の様々な技法における可能性について発表した。次に福山が日本の精神障碍者移行支援の実態報告を行った。次に森野が精神医療における看護技法について、井村が看護における対話の意味を論じた。二日目は松本が「物語の主体と客体」という研究発表を行い、金光が「哲学対話の可能性の探求─授業実践例の紹介と検討」、本田が「初年次教育へのクリティカル・シンキング導入の経緯 ~金沢医科大学の初年次教育~」について論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)精神医療倫理に紛争解決・合意形成論を導入するための理論的研究 具体的には、ACTのプログラムやオープンダイアローグの理論と実践を研究した。つまり、屋良がオープンダイアローグおよびその哲学的基盤としてのバフチンの対話哲学を、井村が看護実践における対話の意味を、森野が精神看護技術に関する研究を発表した。また、松本はハーバーマスらをもとに対話の哲学を、金光・本田は大学の初年時教育における対話の哲学教育のカリキュラム開発に関して発表した。 (2)精神障害者の地域移行・定着に関する実態調査 屋良は名古屋にある精神障碍者就労支援のNPO法人の連絡会に12月から2度参加し、名古屋における就労支援の実態を調査している。次年度から毎月参加する予定である。ACTの日本での実施状況に関して、福山が報告した。また、本来本研究飛度行う予定であったイタリアの精神医療の実態調査を、福山・森野が別の研究費で行ったのであるが、その報告を本科研の研究会で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)精神医療倫理に紛争解決・合意形成論を導入するための理論的研究 本年度は5月に屋良・福山・森野が3日間のオープンダイアローグワークショップに参加し、その実践に関する研修を受けた。今後は、屋良はバフチンの対話哲学および、ベイトソンのダブルバインド論の研究を行う。また、チーム全員でオープンダイアローグ開発者のヤーコ・セイックラの論文を検討し、その理論の理解を深める。 (2)精神障害者の地域移行・定着に関する実態調査 屋良は名古屋にある精神障碍者就労支援のNPO法人の連絡会に毎月参加し、障碍者の就労や地域定住の実態や問題点に関する調査を行う。また、過去の日本の精神医療の実態に関する文献調査も行う。森野・福山は日本の精神看護の実態的な調査を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が121,436円となったのは、第1に、研究分担者の本田が10~1月まで病気療養のため研究活動ができなかったことが大きい。次に、森野は初めての科研費で、使用に慣れておらず、また使用を遠慮したのか、自己の研究費で研究を行っていたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本田は2月には病気から回復し、3月の研究会でも発表していた。本年度も十分に研究を遂行することが期待される。森野は5月のオープンダイアローグワークショップに参加したが、これは本科研の重要課題でもあるため、参加費5万円及び旅費を科研費で払わせるようにし、また、自分の予算をきちんと使うように指導した。
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Research Products
(8 results)