2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K02007
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
屋良 朝彦 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (90457903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 俊義 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (00647943)
森野 貴輝 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (00586969)
福山 敦子 神戸女子大学, 看護学部, 講師 (60758530) [Withdrawn]
金光 秀和 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (50398989)
本田 康二郎 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (40410302)
松本 大理 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (20634231)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 精神障害 / 応用倫理 / 対話 / コミュニケーション / 合意形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、精神医療倫理における障碍者の地域移行・定着支援のための方法論の開発であり、特に、対話を中心とした方法論を開発することである。 まず、平成29年9月16日(土)に第5回精神医療倫理研究会を開催した。まず研究代表者の屋良が対話の哲学的基礎の考察として「メルロ=ポンティの表現論」について論じた。次に分担者の本田が「模倣と対話」というテーマで対話の哲学的基礎考察を論じた。最後に松本が「討議参加者の当事者性について」論じた。 次に、平成30年年2月21・22日に科研費基盤(C)「技術哲学の価値論的転回と実践的応用」(代表・金光)と共催で「精神医療倫理科研・技術哲学科研・合同研究会」を開催した。発表は本研究会からは屋良及び本研究分担者の井村、松本、本田のほか、技術哲学研究会からは金光、直江、紀平、寺本、北野、の合計9名の研究者が研究発表を行った。テーマは精神医療倫理から看護哲学、技術哲学、技術倫理、対話の哲学まで、多岐にわたるものであった。特に屋良は障碍者の対話における多声性と祝祭性の重要性に関して、バフチン、渡辺哲夫、ボルク=ヤコブセンをもとに研究発表した。 そのほかに、ほぼ月1回のペースで精神障碍者との対話集会(3時間程度)を行っている。大きなイベントとしては、精神障碍者を中心とした全国規模のピアサポートのイベントである「きらりの集いin沖縄」に参加し、そこで2時間の哲学カフェを行ったことである。全国から障碍者やその家族、彼らを支える福祉事業所のスタッフやピアサポーターの方々と、障害をもって生きることを振り返ってもらい、生きる力を再び見出すことを目的とした。会は30名以上が参加し、おおむね好評で合った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心目的は、精神医療倫理における対話技法の開発である。現在注目されている精神医療の治療技術の一つに、オープンダイアローグがある。本研究はこれをベースに、コンフリクト・レゾリューション・セオリーを複合させ、新たな対話技法を確立することを目指してきた。その技法の哲学的基礎として、バフチンの多声性と祝祭性という概念が重要なのであるが、特に祝祭性に関して、精神医学者渡辺哲夫や精神医療の哲学者ボルク=ヤコブセンの議論を取り入れて、開発中の対話技法の哲学的基盤を確立しつつある。 上記の理論的研究とは他に、その実践的な基礎付けを確立するために、障碍者との哲学対話の集会を継続する。場所は、名古屋市周辺の障碍者福祉施設を中止として行われる「地域円卓会議@名古屋」である。 ところで、本年4月から、企業の障碍者雇用義務に精神障碍者も加わることになり、企業にとっての精神障碍者雇用の意義に関して調査し、一般従業員と障碍者との対話に関する研究を行う必要が出てきた。そのため、研究期間を1年延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、本研究目的の中心に、精神障碍者との対話技法を確立し、その哲学的基盤を与えることである。技法の中心にはオープンダイアローグとコンフリクト・レゾリューション・セオリーとを当てるが、その哲学的基盤として、バフチンの多声性と祝祭性の議論を取り上げ、特に祝祭性については渡辺哲夫、ボルク=ヤコブセンを取り上げ、学術論文として完成させる。 また、開発された理論と技法に実践的根拠を与えるため、精神障碍者を中心とした対話集会を月1回のペースで継続する。 さらに、本年4月からの障碍者の雇用義務化の拡大に伴い、一般従業員と障碍者との対話に関する研究を行う。
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Causes of Carryover |
精神障碍者との対話技法の開発において、その哲学的根拠を確立する必要が生じたから。具体的には、オープンダイアローグの多声性と祝祭性の理論を、渡辺哲夫やボルク=ヤコブセンの祝祭性の議論によって強化すること。 また、平成30年4月1日から障碍者の雇用義務化に精神障碍者も組み込まれたことを受けて、障碍者を受け入れる一般従業員と障碍者のコミュニケーションについて研究する必要が生じたから。
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Research Products
(13 results)