2017 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative study of natural ethics - F.G. Juenger's postwar thought and modern cosmology
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15K02013
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
桐原 隆弘 下関市立大学, 経済学部, 教授 (70573450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 敦 龍谷大学, 経済学部, 教授 (10380742)
中島 邦雄 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 教授 (00416455) [Withdrawn]
小長谷 大介 龍谷大学, 経営学部, 教授 (70331999) [Withdrawn]
増田 靖彦 龍谷大学, 経営学部, 教授 (50350369)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒト遺伝子への技術介入 / 自律と公正 / 献身 |
Outline of Annual Research Achievements |
桐原隆弘「What is the virtue in biomedicine? A study through analysis of some types of philosophical argument against/for human genetic intervention」(『下関市立大学論集 第61巻 第1号』2017年9月)が代表的な業績である。本稿では、ヒト遺伝子への技術介入の是非をめぐる論争について、主要論者の哲学的論証の特質を批判的に考察したうえで、先端医療技術における「徳」の可能性を検討した。サンデルにおける「自律」論法と「公正」論法との混同、ハーバーマスにおける(「制作されたもの」に対する)「自然発生的なもの」の固有の地位の解明、ブキャナンにおける自然的不平等への是正的介入の「公正」論法による正当化、ヨーナスにおける「献身devotion」の徳の「患者・医療従事者・関係者の共同作業・連帯」としての拡大解釈、以上の論点に基づき、従来の生命倫理においても提起されてきた自律・平等と並んで先端医療において重視すべき徳倫理的観点を提起した。 F・G・ユンガーについては、『技術の完成』の翻訳出版の見通しが立ち、分担者・今井、協力者・中島および代表者・桐原がそれぞれ訳者解説を執筆した。ユンガー技術論における(1)初期思想からの変遷、主要な思想内容、影響作用(今井)、(2)エコロジー思想との関連(中島)、および(3)社会思想としての側面(桐原)について、それぞれ検討した。また、今井はエルンスト・ユンガーおよびハイデガーの技術論と『技術の完成』の関係について学会報告を行った。なお現在、ユンガー技術論に関する学会セッション(社会思想史学会)を準備中である。
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