2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K02029
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
薄井 俊二 埼玉大学, 教育学部, 教授 (90185009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 均 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40201628)
小林 聡 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40234819)
飯泉 健司 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70277747)
坂口 三樹 文教大学, 文学部, 教授 (90279612)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 徐霞客 / 徐弘祖 / 中国地理思想 / 中国地学思想 / 龍脈 / 洞 / 王士性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、明代の「徐霞客遊記」について、そこに見られる、地形や河川の形成やありようといった自然地理学的側面と、人間の営みに関わる人文地理学的側面の両者について検討と考察を加え、伝統中国社会における「地の科学思想」の成果を明らかにしようというものである。あわせて「徐霞客遊記」研究史や本文研究などの基礎的な研究も行う。 平成29年度も三部門に分かれて検討を進めた。基礎研究部門では、「徐霞客遊記」のテキストについて調査し、抄本と刊本のありようについてまとめ、公刊した。 自然地理思想部門では、洞穴の記述を中心に検討を加え、洞穴記述の研究史をまとめたのち、名山遊記・浙遊日記・江右遊日記・楚遊日記・粤西遊日記における洞穴記述についてまとめ、公刊した。 人文地理思想部門では、徐霞客に先行すると思われる王士性について検討し、人文地理思想的側面においては、徐霞客は王士性を継承していないことを確認した。さらに自然地理思想的側面においては、徐霞客は王士性を継承していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三部門に分かれて検討を進めた。 基礎研究部門では、当初予定していた、関連文献の解題については、準備は進んでいるが、ウェブ上での公開には至っていない。しかし、新たに文献を加え、草稿はほぼ完成しており、先ず紀要等で公刊する準備に入っている。徐霞客遊記のテキスト上の性格が明らかになったことは、この書の性格を考える上で、大きな成果であった。本文の訳注については、その準備段階である「全行程」調査について、雲南省を除く全ての調査を終えた。 自然地理思想部門では、洞窟を地脈の一つと捉える徐霞客の考えを明らかにし、山脈や水脈との関連性を明らかにし、日本の二つの学会で発表した。徐霞客の地理思想を、中国の風水地理思想全体の中に位置づける視点の獲得ができつつある。 人文地理思想部門では、先行する王士性との関係を明らかにしつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も三部門に分かれて検討を進める。 基礎研究部門では、文献解題の作成を中心に研究史の整理を行う。 自然地理思想部門では、洞窟については、西南遊記、とりわけ広西省における洞窟探索の記事について、訳注の作成と、概要の発表を目指す。また山脈・龍脈について、徐霞客の基本的な考え方はまとめられたので、それを中国思想史全体の中に位置づけることを行う。その内容を日本の学会で発表する。現地調査としては、雲南省を対象とする。そのための外国出張旅費を見込む。 人文地理思想部門では、引き続き王士性との関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
事業の一環である資料蒐集について、対象書籍の出版が遅れ、2018年度になるため。また実地調査の対象となる場所を、当初予定よりも増やした方がよいと判断されたため。 2018年度出版予定の「徐霞客遊記」を購入する。 2018年度に、雲南省における徐霞客の足跡をたどる、実地調査を行う。
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Research Products
(11 results)