2015 Fiscal Year Research-status Report
国家神道と国体論に関する学際的研究―宗教とナショナリズムをめぐる「知」の再検討―
Project/Area Number |
15K02060
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
藤田 大誠 國學院大學, 人間開発学部, 准教授 (20407175)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 伸之 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (00449258)
山口 輝臣 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (20314974)
昆野 伸幸 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (00374869)
|
Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
|
Keywords | 国家神道 / 国体論 / 宗教 / ナショナリズム / 公共空間 / 国学 / 神社 / 神道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、平成27年秋に追加採択されたため、実質的には平成27年度は半年に満たない活動期間しかなかった。それ故、申請時の計画からすれば、研究会の回数こそ減らさざるを得なかったものの、本研究の大きな二つの柱である①「神道的国体論」関係史料の調査蒐集・検討、②学際的アリーナ(討議場)としての全体研究会の開催と研究発信を行うことに努め、下記の如き研究実績が得られた。 ①については、まず、戦時下の日本社会に関する研究書並びに神道・国学、右翼関係の著作・雑誌、原資料などを購入し、それらの検討を開始した。また、國學院大學所属メンバーを軸とする「国家神道・国体論研究会」は、國學院大學たまプラーザキャンパスにおいて2回開催した。第1回(平成27年12月26日)は、「神道的国体論関係文献目録・解題」の作成に向けた議論と藤田大誠の研究発表「国学的教育機関に関する基礎的考察―「近代国学と教育」の視座から―」を行った。第2回(平成28年1月31日)は、本科研の前提となる科研共同研究成果として編纂中である小島伸之編『近現代日本の宗教とナショナリズム(仮題)』の検討会を開催した。 ②については、本科研の全体研究会(公開研究会)「宗教とナショナリズム研究会」の第1回(平成28年2月27、28日 於國學院大學たまプラーザキャンパス)を開催した。第1日は藤田大誠の研究発表「国家神道と国体論に関する学際的研究序説」を行い、第2日は、これも本科研の前提となる科研共同研究成果として刊行された藤田大誠・青井哲人・畔上直樹・今泉宜子編『明治神宮以前・以後―近代神社をめぐる環境形成の構造転換―』(鹿島出版会、平成27年)の書評会を開催した。 かかる研究活動によって、実質的には、当初計画通りの実績を挙げることが出来たものと考えている。なお、今年度における研究成果の一部は研究論文として公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、平成27年秋に急遽追加採択されたため、実質的には平成27年度は半年に満たない期間しかなく、申請時計画と比較すると、国家神道・国体論研究会が5回から2回に、宗教とナショナリズム研究会が2回から1回に回数を変更せざるを得なかった。しかしながら、これは追加採択後の修正計画を適切に遂行した結果である。 特に国家神道・国体論研究会において小島伸之編『近現代日本の宗教とナショナリズム(仮題)』の検討会を開催し、さらに全体研究会である宗教とナショナリズム研究会において藤田大誠・青井哲人・畔上直樹・今泉宜子編『明治神宮以前・以後―近代神社をめぐる環境形成の構造転換―』(鹿島出版会、平成27年)の書評会を開催したことは、本研究課題の前提となる科研共同研究に基づく問題点の洗い出しという、当初計画通りの要件を満たすものであるだけでなく、研究代表者の藤田大誠がパイロット的な研究発表を行うことによって、本研究の方向性に関する議論が深められたことも、本研究の初年度にふさわしい内容であったといえる。 また、中央・地方の国学的研究・教育機関や神職団体、神道関係団体の機関誌(紙)や関係書籍、「右翼在野神道」関係雑誌の情報に関する網羅的把握にも努め、リストアップを開始し、各所蔵機関における関係出版物の調査・検討についても着手した。 なお、公開研究会以外の研究発信について、当初は研究代表者の藤田が口頭発表もしくは研究論文公表を1回以上行うことを予定していたが、結果的に藤田は今年度中に2本の雑誌論文を公表し、並びに著書(共著、本科研共同研究に参加する藤田大誠、小島伸之、藤本頼生、齊藤智朗、菅浩二、宮本誉士、畔上直樹、河村忠伸が論文執筆)1冊を刊行することが出来た。また、その他メンバーも本科研の関連業績を挙げている。以上のことから、総合的に見れば、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、当初計画通り、①「神道的国体論」関係史料の調査蒐集・検討、②全体研究会の開催と研究発信を軸とする研究推進を行う。 ①「国家神道・国体論研究会」を5回開催する(於國學院大學たまプラーザキャンパス)。また、「神道的国体論」関係史料の調査蒐集・検討に従事し、「神道的国体論関係文献目録・解題」解題執筆者(本研究メンバー)の選定作業を開始する。 ②全体研究会である「宗教とナショナリズム研究会」を2回開催する(於國學院大學)。いずれも2日に亙る日程を確保し、複数の個人発表を設定して討議を行う。 さらに本研究会メンバーは、「宗教と社会」学会第24回学術大会をはじめとする諸学会の大会などにおいて、テーマセッションかパネル発表、もしくは個人口頭発表を行うとともに、学術誌などに研究論文を公表することによって研究発信を行う。
|
Causes of Carryover |
本研究課題は、平成27年秋に急遽追加採択されたため、実質的には平成27年度は半年に満たない期間しかなかったことから、当初研究計画と比較して研究活動期間の不足が生じたことが理由として挙げられる。とりわけ、研究会の回数自体を少なくせざるを得ず、当初計画のかなりの部分を占めていた研究会旅費を使用する機会が減ってしまったことが、次年度使用額が生じた最大の原因である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題は、他の費目に比べ旅費等が特に大きな割合を占めているため、平成28年度以降は当初計画通りに研究遂行することによって、無理なく適切な使用が出来るものと考えられる。前年度から持ち越した部分については、当初から予定されていた学会調査・調査旅費、設備備品費(関係文献・資料購入費等)にそれぞれ補填することにより、より充実した研究推進に繋げ、無理のない使用を行う予定である。
|
Research Products
(8 results)